研究課題/領域番号 |
63043023
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
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研究分担者 |
高畑 尚之 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究部, 助教授 (30124217)
布山 喜章 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20087133)
深民 玲之 明海大学, 歯学部, 教授 (50049368)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / ヘテロプラズミー / ミトコンドリア / 制限酵素地図 / 系統樹 / 南インド洋沖諸島 / 共同祖先種 / ファウナ |
研究概要 |
1.主な採集記録個体数について 私達は昭和62年7月南インド洋東アフリカ沖の3島にそれぞれ約1週間滞在し、ショウジョウバエの採集を、スィーピングとトラップ両法によって行った。今回、種の同定を完了したので、その結果を主たる種についてまとめ右表に示した。この結果は、現在論文として学術雑誌に刊行を予定している。1981年の記録(Tsacasら)に分布が報告されていなかった種が多く発見された。特に、Mauritiusのファウナ(昆虫相)の変化は著しく今後とも注意深い観察が望まれる。なお、困難な種同定には、岡田豊日博士のご協力をお願いした。 2.異種間浸透を示すヘテロプラズミー(細胞質多形)について Reunion島に由来するD.simulansの系統から私達はS型とM型のmtDNAを同一細胞質にあわせもつ、いわゆるヘテロプラズミーを示すiso雌系統を発見した。このmtDNAの詳細な比較研究からS型とM型は、D.simulansとD.mauritianaの共通祖先種にすでに多型的に存在していたもので、2種の種分岐の時に両型がD.simulansの集団に保有され、M型のみがD.mauritianaに含まれるようになったと理解できることが分った。両種の分岐時間は24万年前と推定できた。したがって、今迄調べて来たヘテロプラズミーは同一種内の2型のmtDNAのヘテロプラズミーと考えられる。 3.自然集団におけるヘテロプラズミーの存在(D.simulans)について 新しくレユニオン島から採集した個体のうち、約150iso雌系統を確立し実験室系統とした。これらの系統についてmtDNAの制限酵素地図を作成しヘテロプラズミーの有無を調査した。今迄に約100系統調べたがヘテロプラズミーを確認出来なかった。他の制限酵素も組み合せ全系統についてさらに分析を続行している。ヘテロプラズミーの起源、ヘテロプラズミーを示す個体が現在もレユニオンの自然集団に生息しているか、一過性のものであったか、あるいはマダガスカルにむしろ多く見出されるものか、今後さらに採集個体を得て追求する必要がある。 4.ヘテロプラズミーの起源について ヘテロプラズミーの存在は、ミトコンドリアが雄から伝わる可能性を強く示すものであり、従来のミトコンドリア遺伝の常識に反する。そこで、この可能性を検討するために、実験室において戻し交配を繰り返し、雄からの伝達をテスト中であるが、予備調査からヘテロプラズミー個体を得ることが出来た。 5.D.melanogaster subgroupの系統樹について D.melanogasterとその近縁種(D.simulans,D.mauritiana,D.sechellia)のmtDNAの塩基配列の比較から、これらの種に含まれるmtDNAの系図を作成し、種分化年代の上限を推定した。simulansとmauritianaの分岐は、simulansとsechelliaの分岐より後に起こったと推定できた。 6.その他 Zaprionus属の性的隔離の調査からセイシェルとレユニオンのZ.indianの間には種形成が進みつつあることが分かった。
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