研究課題/領域番号 |
63043025
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
青木 滋 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 教授 (80018621)
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研究分担者 |
王 蘭生 成都地質学院, 応用地質学科, 教授
張 倬元 成都地質学院, 応用地質学科, 教授
佐藤 修 新潟大学, 積雪地域災害研究センター, 助教授 (00022624)
川上 浩 信州大学, 工学部, 教授 (00020967)
遠藤 治郎 新潟大学, 農学部, 教授 (70007087)
ZHUAN Zhuoyuan Professor of Engineering Geology, Chengdu College of Geology.
LONG Xueming Assistant Professor of Engineering Geology, Chengdu College of Geology.
WANG Lanshen Professor of Engineering Geology, Chengdu College of Geology.
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1988年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 地すべり / 崩積土すべり / 岩盤すべり / 初生地すべり / 日中地すべりの比較 |
研究概要 |
過去の経過:昭和62年度には中国の長江とその支流、雅〓江、大渡河等の流域の地すべりの調査を日中共同でおこない、以下の結果をえた。中国の地すべりが大規模であるのは、地質・地形が原因である。豪雨が誘因となることが多い。岩盤すべりと崩積土の再すべりがあり、鏈子崖崩壊のように岩盤すべりで現在活動中のものもあるが、新灘、鶏〓子、金龍山等の地すべりのように今日活動的なのは崩積土の再すべりが多い。 1.昭和62年度の中国における調査につづいて、日本と中国の地すべりの比較検討をおこなうため、新潟県・長野県下の地すべり地の共同調査を行った。対象となった地すべりは新潟県では、虫亀、濁沢、蓬平、水沢新田、小濁、棚口の各地すべり地、長野県では地附山、茶臼山、小諸地すべり地で、このほか、妙高土石流被災地、御岳崩壊被災地も含まれる。これら地すべりは、御岳を除くと、大半が融雪期、雨期の発生した地すべりで、すべての地すべり地は、崩壊土すべりで、中国のような岩盤すべりはみられない。 2.日本では、過去の移動物質である崩積土が再移動するケースが多いので、多くの地すべりを地形発達史から地すべり地の新旧を区別し、地すべり危険地帯の予測をおこなっている。この方法は、日本独特のもので、中国側でも、この方法を採用する可能性について討論された。長江の両岸にも段丘が良く発達している所があり、日本の方法が長江流域にも適用できる。この種の調査が有効になるためには、長江流域の地形の発達史の解明が必要である。 3.中国では岩盤すべりと認定する地すべりが多いせいか、岩石力学的性質を重視する傾向が強い。実際に今活動中の地すべりや、最近活動した地すべりは崩積土のすべりが多いから、もっと崩積土すべりの検討をする必要がある。一方、中国の岩盤すべりの研究は、今日、日本にほとんど見られない初生すべりのメカニズムを考える上に貴重な資料と考えられる。 4.日本の地すべり地では、地下水の挙動を誘因として重視し、水位や間隙水圧の観測や、水質分析を行っている。同時に、地すべりの防止・抑止工事としても地下水・地表水の処理が行われるのが普通であり、その効果は広く認められている。中国の地すべりも、雨期に発生する事が多いので、地すべりの誘因としての地下水の変動は重要であり、今後地すべりの発生機構の解明のためにもっと地下水の観測を行う必要がある点について意見の一致をみた。 5.地すべり防止工事については、中国では鶏〓子地すべりでは表面排水工が施工されているが、その他の地すべりでは対策工事が行われていない。日本にくらべて、大規模な地すべりが多いので、実施にあたっては、かなり困難な問題が多い。日本でも、活動する地すべりは大規模な地すべりの一部が再活動するものであり、対策工事も部分的な対策が行われているのが現状である。地すべり地形全体の安定化をはかるには、中国と同じ程度の規模の地すべり対策を考えねばならない。これは両国の共通の今後の課題である。 6.この他、京都防災研究所、東京都土木技術研究所を訪れて、研究者との意見交換を行ったが、とくに後者のコンピューターによる地盤の液状化の予測の研究などは、将来の地盤災害の研究方法として強い関心が集まった。
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