研究課題/領域番号 |
63043028
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石原 潤 名古屋大学, 文学部, 教授 (70080265)
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研究分担者 |
BIRESWAR Ban カルカッタ大学, 地理学科, 教授
宇佐美 好文 大阪府立大学, 農学部, 助手 (40081559)
溝口 常俊 富山大学, 教養部, 助教授 (50144100)
鹿野 勝彦 金沢大学, 文学部, 助教授 (00169591)
重松 伸司 名古屋大学, 文学部, 助教授 (20109242)
BANERJEE Bireswar Professor, Dept. of Geography, Calcutta University
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 伝統的市 / 定期市 / 毎日市 / 商品流通 / インド亜大陸 / 西ベンガル / ネパール |
研究概要 |
本年度は、前年度に実施したインド西ベンガル州ミドナプール県タムルク地域及びネパール東部地域における現地調査結果を英文報告書にまとめ刊行した。報告書の構成は以下の通りである。 Preface Hiroshi Ishihara Chapter1 The Main Study Area Bireswar Banerjee Chapter2 Distribution and Characteristics of Traditional Markets Hiroshi Ishihara & Tsunetoshi Mizoguchi Chapter3 Traders at Periodic Markets Tsunetoshi Mizoguchi Chapter4 Production of Betel Leaves Yoshibumi Usami Chapter5 Marketing of Betel Leaves Bireswar Banerjee Chapter6 Production and Marketing of Handloom Textile Yoshihiro Miyamachi Chapter7 Periodic Markets in East Nepal Katsuhiko Kano Appendix 本報告書において明らかにされた新たな知見は以下の通りである。 まず主調査地域であるインド西ベンガル州ミドナプール県タムルク地域については、 1)ガンジスデルタの高人口密度農村地域である当地域においては、週2回の定期市が空間的・時間的にほぼ均等に配置されており、加えて毎日市が幹線道路に沿い立地し、市の分布密度及び開催頻度は著しく高い。 2)19世紀末以来、市の立地は交通路の変遷に大きく規定されて、一方での新設・発展、他方での衰退・消滅が見られた。 3)市は私有のものが比較的多く、ベンガル的特質が認められるが、市の管理については公的管理が進んでおり、出市料は低額で徴税請負人もいない反面、市の設備は極めて貧弱である。 4)市は専用の広場または道路・堤防・鉄道敷などを利用して開かれ、市場内の出店者は業種ごとにセクションをなす。各セクションの配置は、商品の価格や体積、衛生上の配慮やカースト関係を反映して決められている。 5)市はその規模により「小」「中」「大規模市」に、その機能により「一般機能市」と「不完全機能市」に分けられる。中・大規模の一般機能市が比較的等距離に立地する間をぬって、多数の不完全機能市が分布している。伝統的市の一部では手織物の集荷機能が認められるが、一般的に移出生産物の集荷機能は弱い。しかし、伝統的市は経済的機能のほかに一定の社会的・文化的機能をも果たしている。 6)当地域の小売商業にあって、市と営設店舗とは共に活発に機能しており、両者は機能的に補完関係にあると同時に、それぞれ異なった社会階層によって支えられているという側面を持つ。現在では常設店舗のウェイトがより大きくなっていると推定されるが、市の存在が常設店舗の集積を促し、恒常的中心集落の形成をもたらした場合が多い。 7)市での売り手は、生産者の農漁民と零細な専業的商人とからなるが、前者のウェイトが比較的小さいのが本地域の特色である。野菜の販売者ですら専業的商人であることが多く、彼らは地域外の野菜卸売市場において仕入れた商品を販売している。 8)当地域の主要な移出農産物は、インド人の嗜好品であるビーテルリーフであり、その生産は極めて集約的な園芸農業として営まれ、地域内の専門的集荷市場を通じてインド各地へと出荷され、栽培農民に現金収入をもたらしている。 9)当地域のもう一つの重要な商品生産物は手織りの綿製品である。それらは主に零細な家内工業として営まれ、主として地域内の特定の定期市において集荷され、東部インド各地へと移出される。 他方、副調査地域であるネパール東部地域については、 1)当地域においても、定期市と常設店舗との併存状態が認められる。観光産業と行政活動により外部からもたらされた所得が、両者の活発化をもたらしている。 2)著しい高度差とそれに伴う生態系の差異に基づき、商品は南北方向(上下方向)に顕著に移動している。
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