研究課題/領域番号 |
63043031
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水谷 伸治郎 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022538)
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研究分担者 |
施 央申 南京大学, 地球科学系, 教授
郭 令智 南京大学, 地球科学系, 顧問教授
小嶋 智 名古屋大学, 理学部, 助手 (20170243)
服部 勇 福井大学, 教育学部, 助教授 (60020111)
矢入 憲二 岐阜大学, 教養部, 教授 (20022650)
GUO Lingzhi Professor, Dept. Earth Sci., Nanjing Univ.
SHI Yangshen Professor, Dept. Earth Sci., Nanjing Univ.
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 中国 / 秦嶺構造帯 / 揚子卓状地 / 地質構造 / テレーン解析 / 放散虫 / 那丹哈達テレーン |
研究概要 |
本海外学術調査によって得られた成果は次のようにまとめられる。 1.中国東北部の那丹哈達山地は古生代後期の石灰岩や緑色岩・三畳紀中期〜後期の層状チャート・ジュラ紀中期の珪質頁岩・砂岩などからなる。これらの岩石はジュラ紀後期以降の砕屑岩類中にブロックとして含まれている。那丹哈達山地でみられる岩石の組合せや、その時代・放散虫化石群集・地質構造といった地質の特徴は西南日本内帯の丹波ー美濃ー足尾帯に極めて類似している。このことは、那丹哈達山地が、丹波ー美濃ー足尾帯の北への延長部にあたることを示している。 2.中国東北部からシホテアリンにかけての地域はいくつかのテレーンに区分される。それらは、 (1)ハンカテレーン(先カンブリア代の花崗岩・片麻岩などの基盤をもち、それを古生代から中生代にかけての堆積岩類が不整合でおおう。stratigraphic terraneに分類される) (2)那丹哈達ー西シホテアリンテレーン(古生代後期の石灰岩・緑色岩、三畳紀の層状チャート、ジュラ紀の砕屑岩類からなる。disrupted terraneに分類される) (3)東シホテアリンテレーン(ジュラ紀後期〜白亜紀にかけての砂岩・泥岩・凝灰岩・石灰岩などからなる) (4)テチュケテレーン(古生代後期の石灰岩・緑色願、三畳紀の石灰岩・ジュラ紀の層状チャート、ジュラ紀〜白亜紀にかけての砕屑岩類などからなる。disrupted terraneに分類される)などである。 3.上にあげたテレーンは、ジュラ紀から白亜紀にかけての時代に、東アジアの大陸縁辺部に次々に付加することによって形成されたものである。その時、東アジアは揚子と中朝の2つのテレーンから成っていた。揚子と中朝のテレーンが、その間にある秦嶺構造帯で衝突した時期については異論が多く、最近の東アジアのテクトニクスの第一級の問題であるが、本調査により、 (1)秦嶺構造帯の中には衝突に関連した三畳紀からジュラ紀にかけての花崗岩類が広く分布すること。 (2)揚子と中朝のテレーンを比較すると、その岩相・化石相などに、古生代の間は大きな差異があるのに対し、ジュラ紀になるとほとんど違いが見られないこと。 などのデータが得られ、これにもとづいて、我々は、衝突は三畳紀に始まり、ジュラ紀には完了したと結論するに至った。 4.秦嶺構造帯は現在でも活動的で、それは、主に構造帯と平行に走る断層やTan-Lu断層に沿った横ずれ運動によるものである。この運動はもう少し視野を広げてみると、インド亜大陸のユーラシア大陸への衝突に起因するものであると解釈される。
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