研究課題/領域番号 |
63043036
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 進 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (10025827)
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研究分担者 |
VINCENT R.A. アデレイド大学, 物理学科, 教授
山本 衛 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (20210560)
佐藤 亨 京都大学, 工学部, 講師 (60162450)
津田 敏隆 京都大学, 超高層電波研究センター, 助教授 (30115886)
深尾 昌一郎 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (30026249)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | MUレーダー / 京都大学流星レーダー / アデレイド大学分反射レーダー / 中層大気力学 / 大気潮汐 / 長周期波動 / 大気重力波 / 京都ーアデレイド協同観測 |
研究概要 |
本海外学術研究では、南北半球の中層大気の振舞いの相違を明らかにすると共に、各種のレーダー技術の比較検討を実施することを主たる目的として、オーストラリア国アデレイドへの調査旅行を昭和62年5月15日から7月22日の期間に実施し、昭和64年度には本研究の調査研究内容の総括を行って以下の研究成果を得た。 1)加藤、津田がアデレイド大学のR.A.Vincent博士等と共に1983ー1985年の長期連続観測で得られたアデレイド大学分反射レーダーと京都大学流星レーダーの観測データを比較して、上部中間圏から下部熱圏における平均風、長周期波動及び大気潮汐波の南北半球間の相違について研究を行った。この結果、準2日周期波動の振幅がアデレイドでは京都の約4倍であり、風の南北及び東西成分がそれぞれ同位相及び逆位相であって南北半球間の逆対称性が明らかとなった。1日周期の潮汐波に関しては、アデレイドで振幅が大きく伝搬性の(1、1)モードが卓越することがわかった。半日周期の朝夕波は、比較の結果、南北半球間で対称な(2、2)モードと反対称の(2、3)モードの結合によって説明された。これらの成果は、Adv.Space Res.誌、J.Geophys.Res.誌及びJ.Atmos.Terr.Phys.誌に発表された。 加藤、深尾はクイーンズランド大学のホワイトヘッド教授と電離圏ー中間圏の力学的結合について議論を行った。 2)津田、佐藤、山本が内部重力波の南北半球間の相違を明らかにするために、アデレイド大学分反射レーダーとMUレーダーの協同観測を行った。アデレイド大学分反射レーダーではアンテナ空間分離法(SAD法)とドップラー法のどちらかを用いて観測行うが、本共同研究のための特別観測を、昭和62年6月5〜14日には高度70〜90km、6月22〜30日には高度60〜100kmのドップラー観測として実施した。さらに6月中の他の期間に行われた全てのSAD法による定常観測データの提供を受けた。MUレーダーでは、6月6〜29日の期間に中間圏の長期連続観測を行った。 分反射レーダー観測では天頂方向から強い反射エコーが観測されるため、斜め方向ビームの実行天頂角が設定したビーム方向と異なるが、今回の観測では設定天頂角11.6°に対して実行天頂角が5〜8°であることがわかった。また、MUレーダーでは観測可能時間が日中に限られるために大気潮汐波を考慮した周期数時間以上の慣性重力波の解析が因難であるのに対し、アデレイド分反射レーダーでこれを考慮してホドグラフを用いた解析を行ったところ、周期数時間から十数時間の慣性重力波が検出されることが明らかとなった。本協同観測の概要と結果の速報は昭和62年9月に信州大学教養部で行なわれた地球電磁気・地球惑星研学会講演会及び、昭和63年1月に文部省宇宙科学研究所で行なわれた大気圏シンポジウムで発表された。 3)津田、佐藤、山本がP.T.May博士、W.K.Hocking博士と共に、アデレイド大学分反射レーダー、STレーダーのシステム構成及びこれらのレーダーで用いられているアンテナ空間分離法(SAD法)に関して調査を行った。MSTレーダー観測においては、散乱層が薄い場合に風速の推定値に誤差が見込まれるが、これについての研究結果がP.T.May博士他によってRadio Sci.誌に発表された。山本他が、最小2乗法を用いて風速を推定する場合に見込まれるランダム誤差について、計算機シミュレーションの手法を用いた研究を行いその成果をRadio Sci.誌の発表した。
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