研究課題/領域番号 |
63043037
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
日高 敏隆 京都大学, 理学部, 教授 (70014892)
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研究分担者 |
疋田 努 京都大学, 理学部, 助手 (40135512)
石井 実 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80176148)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 行動戦略 / 湿潤熱帯 / 昆虫類 / 爬虫類 / 移動 / 生活史 / 亜社会性 / 縄張り性 |
研究概要 |
1979年以来われわれのグループはマレーシア連邦サバ州の湿潤熱帯地域において小動物を対照に行動学的な調査を続けて来た。今回の調査では、昆虫類と爬虫類を中心に行動学的な調査がおこなわれた。これに加えて、前回の調査から引続き行なわれて来た生活史の研究と動物相の基礎的な調査も継続的に行なわれ、さらにトカゲ類については核学的な調査も行なわれた。研究項目は多岐にわたっているので、以下に項目別に記す。 1)蝶類の生活史に関する研究:今回はCatopsilia属の蝶の移動についての調査とEuploea属の蝶の集合性についての調査を行うとともに、各種の蝶類の飛行中の空間分布の解析を行った。 2)コマユバチ類の調査:この科のハチは色々な農業害虫や森林害虫の寄生者として知られており、応用動物学上も重要なグループである。今回、標本の採集と分類学的な調査が開始された。 3)アオスジカミキリの繁殖行動:前回から継続してアルビジアの害虫アオスジカミキリの繁殖行動の調査が行われた。 4)クロツヤムシ類のコロニーと生活史:前回から始められたクロツヤムシの調査が更にすすめられ、13種についてコロニーの構成とその生活史が明らかにされた。その内の2種については分類学的な検討も加えられた。 5)糞虫類の群集:やはり前回始められた糞虫類の群集生態学的な調査が進められ、原生林と耕作地ではその種組成が亜科のレベルで異なること等が示された。 6)ハラボソバチParischnogaster属3種の社会行動:セピロクの森林に棲むハロボソバチ3種の行動・生態学的調査が行われた。 7)ハラボソバチ亜科の巣の構造:主としてセピロクの森林においてハラボソバチ亜科13種を採集し、その巣の構造を調査した。 8)トンボ類の縄張り行動:セピロクにおいてトンボの一種Zyxomma obtusumの雄の縄張り行動の調査を行なった。 9)トカゲ類の体温調節:野外のトカゲ類の体温のデータを集め、外温性動物として知られているトカゲ類の湿潤熱帯における体温調節のやり方を3科11種のトカゲについて調査した。 10)トカゲ類の核型:東南アジア地域のトカゲ類の核型調査はほとんど進んでいないので、今回はトカゲ類の採集と平行して核型の調査行なった。このうち、いままでまったく報告のなかったトビヤモリ属(Ptychozoon)とトビトカゲ属(Draco)の核型の記載を行なった。さらにヤモリ属(Gekko)については台湾および日本産を含む5種の核型を新たに記載した。 11)アリの巣へのトカゲの産卵:スベトカゲの一種Sphenomorphus kinabalensisの複数腹の卵がアリの一種Anochetus princepsの巣から発見された。トカゲ類ではごく少数の種でアリの巣を産卵巣として利用することが知られているが、トカゲ科のトカゲでは今まで知られていなかった。
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