研究課題/領域番号 |
63043038
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 泰蔵 京都大学, 理学部, 助教授 (20025274)
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研究分担者 |
東 正彦 竜谷大学, 理工学部, 講師 (40183917)
立川 賢一 東京大学, 海洋研究所, 助手 (20013584)
岩田 勝哉 和歌山大学, 教育学部, 教授 (10031816)
小長谷 庸夫 三重大学, 生物資源学部, 教授 (30024821)
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研究期間 (年度) |
1983 – 1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 湖沼生態系 / 物質循環 / 魚の役割 / 生物操作法 |
研究概要 |
中国武漢にある東湖(12平方粁、水深4.5メートル)を対象として、相互に相反する水質管理と魚類生産の合理的帰結のための基礎資料として、湖沼動態とその機構を明らかにしようとした。 東湖は極めて高度の富栄養状態にあり、夏期はミクロキスチス(通称アオコ)が優占する。ハクレン、コクレンはこのアオコを主な食べ物としているが、その高い生産能に支えられ、夏期に驚くほどの高生産を示す。更に、これらの魚の消化管に取り込まれたアオコは細胞内の物質を栄養物として提供するが、大部分は生き残り、糞として排出された後、湖水に分散して再び光合成を行う。それによって、アオコ-魚類システムを安定化させるという事実を見いだした。 ところが、調査の後半においてこの湖沼系に劇的な変化が起こった。更に大きな漁獲を期待して、より多くの幼魚を放流したため、成長期における魚の密度が約20%上がった。同時に大きな群体を形成するアオコが少なくなり、代わって10ミクロン以下の小型緑藻が優占するようになった。一方、ハクレンの成長は悪くなり、逆にコクレンの成長は良くなった。 この変化について諸情報を手がかりに検討して次の仮説をたてた。魚の摂食圧が高まりアオコは増殖の機会を失った。アオコの競争圧から解放されて、微細な緑藻は増殖する機会に恵まれた。小型藻類を選択的に摂食する動物プランクトンには好条件になり、生産速度が速くなった。以前はアオコを主な餌としていた本来動物食のコクレンは栄養価が高く、消化・吸収率の良い動物プランクトンを多く摂食することができ、成長が良くなった。一方、ハクレンは藻類食であるが、これらの緑藻では粒子サイズが小さ過ぎ、摂食速度が低下し、ひいては成長が悪くなった。 諸パラメターを用いて数理解析することによって、上記の仮説の検証を行い、その正当性を示唆する結果を得た。このことは魚類による生物操作法の一つとして活用する可能性を示している。
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