研究分担者 |
星野 健一 広島大学, 理学部, 助手 (80190198)
岡村 真 高知大学, 理学部, 講師 (10112385)
大槻 憲四郎 東北大学, 理学部, 助手 (70004497)
中田 高 広島大学, 文学部, 助教授 (60089779)
中村 耕二 北海道大学, 理学部, 教授 (40000822)
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研究概要 |
パキスタン西部のインダス河の西域一帯、バルチスタン州のほぼ全域にわたって地質調査を行い、西から東へFlysh Zone,Axial Zone and Calcareous Zoneと分けられている地帯(terrane)区分が、インドーユーラシア両大陸の衝突過程においてもっている意義について、化石層序学的、堆積岩岩石学的、地球化学的、構造地質学的、変動地形学的および古生物学的研究を行い、現在までに次のような結論をえたので要約して記述する。 1.Flysh Zoneにはインドーユーラシア両大陸の衝突後、衝突境界域を広く覆って発達し、アジア大陸の前縁海域を埋積したタービダイト優勢相が特徴的に分布している。堆積構造から推測された堆積物の供給方向は、北ないし北西を明瞭に示し、南側の2帯における供給方向とは逆をしめしている。最下位には始新世サンゴ礁石灰岩が局地的に発達し、それを覆って大型有孔虫類(Nummulitesを主体とする)を多量に含むタービダイト層、砂岩優勢の泥岩互層と重なっている。 2.Axial ZoneとCalcareous Zoneには、いわゆるAlozai Groupが広く分布している(Hunting Survey Corporation,1960)が、両地帯の構成層は、岩相的にも年代的にも明らかに異なり、構造地質学的にも別の単元とみなされよう。この地層名は後で述べるAxial Zoneのオリストストローム相に限って使用されるべきであって、Calcareou Zoneのジュラ紀Loralai石灰岩、白亜紀のParh石灰岩層とは区別されなくてはならない。 3.Axial Zoneには、Muslim Bagh ophioliteやBella ophioliteのように、両大陸が分離していたと考えられる三畳紀初期の両大陸間に位置していたと考えられる"中央海嶺"にその起源がもとめられるようなophiolite-blue schist complexが三畳紀オリストストローム層上に衝上した関係で発達している。 4.Axial Zoneのオリストストローム層には2相が認められ、ともに葉層状の泥質岩(papery shale)が主体であるが、狭在層とオリストリスに関しては著しく異なっている。ひとつはGwalの東一帯に典型的に見られるもので、細礫径のものから大きいものでは長径が1k
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m以上に達するオリストリスをともなっている。細ー中礫径のオリストリスは、あたかもpelagic shaleの堆積場に氷河性のdropstoneとしてもたらされたかのような産状を呈している。これらのオリストリスには、ペルム紀の有孔虫類や腕足貝類を含むミクライト質石灰岩、前期三畳紀アンモナイトを含む石灰岩礫岩、おそらく同時期のpelagic oolitic石灰岩、緑色岩類、石英質砂岩などがある。もうひとつは、薄層の極細粒石灰岩、凝灰質ないし珪質泥岩ーチャートをはさむやはり葉層状の泥岩層で、一部には著しい海底地すべり構造がみとめられ、また発泡した玄武岩質岩を含む緑色岩主体のオリストストローム層、上部では数mの厚さの礫岩層を狭在している。 5.オリストストローム層の泥岩層および狭在する薄層の珪質岩からは、中期から後期三畳紀を示す放散虫・コノドント化石群が検出され、下部三畳系とされていたWulgai Formation(Alozai Groupの一部)には、岩相・年代層序など、層序学上の基本的内容についての再提議が必要である。主要な放散虫・コノドント化石と産出地点は次の通りである。 Wulgai Nala,Sp-13:Gondolella sp.,Enantiognathodus sp.,and Xaniognathus sp.(Midlle Triassic) Wulgai Nala,Sp-17 and-19:Triassocampe spp.(Anisian-Ladinian) Wulgai Nala,Sp-24:Gondolella sp.,Hindeodella(?)sp.,and Gladiogondolella cf.tethydis(Anisian-Mid.Carnian) Wulgai Nala,Sp-31:Triasoocampe sp.,Emiluria(?)cf.cochileata(Anisian-Ladianian) East of Gwal,GW-16:Triassocampe spp.,Archaeospongoprunum sp.,Emiluria(?)cf.cochleata,Amphisphaera(?)sp.(Aniasian) Overlyer of Muslim Bagh ophiolite:Gondolella cf.polygathiformis(Carnian) 隠す
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