研究課題/領域番号 |
63043062
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
森内 茂 大阪府立大学, 農学部, 講師 (30081524)
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研究分担者 |
吉安 裕 京都府立大学, 農学部, 講師 (90038315)
有田 豊 名城大学, 農学部, 助教授 (30076682)
斉藤 寿久 大阪府, 土木部・箕面公園昆虫館, 主幹
SAITOI Tosihisa Curator of the Entomol. Museum, Osaka Prefectural Minoo Park
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 鱗翅目昆虫 / 小蛾類 / 潜葉性小蛾類 / 鱗翅目害虫 / 昆虫相 / 東南アジア鱗翅目相 / タイ国鱗翅目相 |
研究概要 |
昭和62年度のタイ国における現地調査で得た鱗翅目昆虫の全資料は、すべて標本作製が完了し、前回までのと合せて研究に用いることができる状態になった。これらの標本作製作業とともに、研究代表者・分担者により研究が行なわれ、また内外の研究者に研究を依頼、あるいは研究希望により標本を貸し出している。すでに公表されたタイ国鱗翅目昆虫に関する論文は、印刷中のを含めて50篇に達し、これまで未知の分野が多かったタイ国の鱗翅目相に大きな貢献をなしたと思われる。 昭和63年度中に公表される論文に基づく成果は、以下のようである。 ヒロズコガ上科:東洋区に分布する後肢の長い特有の形質をもつヒロズコガ科のGerontha属は、これまでタイ国から未記録であった。東南アジアから本属の11新種、3既知種を報告したが、これらのうち、タイ国からのは6新種と1既知種が含まれる。この結果、従来6種が知られていた本属は、17種を含むことになった(森内)。 スカシバガ上科:これまでタイ国から未記録であったスカシバガ科の2属TrilochanaとLenyraを記録した。前者は1新種と1既知種、後者は1新種であり、従来その所属が不明であったこれらの2属は、Parenthreninae亜科に属することが明らかになった(有田)。ヒロハマキモドキガ科については、Phycodes taonopa MeyrickとP.minor Mooreの2種をタイ国から初めて記録するとともに、Ficus属植物を加害する後者の幼虫・蛹を詳記した(有田)。 キバガ上科:マルハキバガ科の東洋区に分布するPeriacmaとその近縁2属のタイ国産31種の分類学的整理を行なったが、4新種と1新記録種を含んでいる。これらの属は、タイ国以外から31種が知られていたが、我々によりタイ国から27新種が記載、追加された(森内、斉藤、Lewvanich)。また、マルハキバガ科の1新属新種Paradentrogonia siamicaがタイ東北部の採品に基いて記載された(斉藤)。カザリバガ科のインドから記載されたStagmatophira callistrepta(Meyrick)が、チェンマイ県から初めて記録され、本種はタイの重要産物であるチークの害虫であることが明らかとなり、その生態などが詳らかにされた(黒子ー前研究代表者)。 ハマキガ上科:タイ国に多産するハマキガ科のうち、ヒメハマキガ亜科の研究を川辺湛氏に依頼したが、同氏により57属、125種が公表された。これらは22新種とこれまでタイ国から未記録であった92既知種を含み、多くのハマキガがタイの鱗翅目相に加えられた(川辺)。 メイガ上科:メイガ科のトガリメイガ族の主属Endotrichaは、91種が知られているにかかわらず、これまでタイ国からは未知であった。研究の結果、2新種を含む9種がタイ国から明らかとなり、それらの検索表とともに公表された(吉安)。 1987年のタイ国現地調査により得られた材料に、以前の調査資料を加えた1988年度の調査総括では、以上のように、7科、66属、178種のタイ国産の蛾を報告した。これらは、1新属、37新種、および56新記録属、104新記録種、さらにタイの害虫相に新たに加えられる2種の小蛾を含むものである。 今後の研究の進展につれて、さらに多くの鱗翅目昆虫がタイ国の昆虫相に加えられることになろう。しかしながら、これまでの数次にわたる現地調査では、鱗翅目の系統分類学的研究に最も重要な原始的グループ、すなわちコバネガ、Neopseutidae、Palaeosettidae科などが未発見である。これらは恐らく同国に分布すると思われ、是非これらの資料を得る必要がある。
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