研究課題/領域番号 |
63044008
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平賀 けん二 (1989) 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30005912)
平賀 賢二 (1989) 東北大, 金属材料研究所, 教授
平林 真 (1988) 東北大, 金属材料研究所, 教授
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研究分担者 |
H. Sato パデュー大学, 材料工学科, 教授
大西 直乏 東北大学, 金属材料研究所, 日本学術振興会. 特別 (60201977)
進藤 大輔 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20154396)
小野塚 喬 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10005936)
平林 真 いわき明星大学, 理工学部, 教授 (00005836)
SHINDO D. Institute for Materials Research, Tohoku University
OHNISHI N. Fellow, Japan Society for the Promotion of Science
ONOZUKA T. Institute for Materials Research, Tohoku University
SATO H. School of Materials Engineering, Purdue University
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 高分解能透過電子顕微鏡法 / 電子エネルギ-損失分光法 / 酸素kー吸収端 / 高温超伝導酸化物 / BiーSrーCaーCu系 / 不整合変調構造 / TlーBaーCaーCu系 |
研究概要 |
本研究は1985年から三年間行われた日本学術振興会の日米科学協力事業共同研究“低温高分解能電子顕微鏡による変調構造の相転移と固相反応"の成果をもとにして、その発展を図るため企画、立案された。即ち、従来の研究ではTcの低いA15あるいはB2型金属間化合物を対象としたが、本研究では高温超伝導酸化物に的をしぼった共同研究を実施した。当初は前記の研究期間に両国で蓄積された技術と装置を活用し低温におけるその場観察に重点をおいたが、その間のこの分野の研究の急速な発展、ならびに高分解能及び分析電子顕微鏡法の進歩を考慮して、本計画の課題を高温超伝導酸化物の低温観察のみに限定せずに高分解能及び分析電子顕微鏡を駆使したより幅広いテ-マの研究を推進することにした。独自の方法で作成した試料について広範な実験を行いそれらの微細構造、原子配列、及び電子構造に関して多くの新しい知見を得ることが出来た。 本共同研究によって得られた成果は大要次の三点にまとめられる。 1:超伝導酸化物における不整合変調構造の解析 2:電子エネルギ-損失スペクトロスコピ-による電子構造の研究 3:液相急冷法により作成した超伝導薄膜のミクロ構造と特性評価 1:高Tc酸化物結晶はペロブスカイト型ユニットを基本とする複雑な層状構造をもつので、その原子配列の解明には高分解能電子顕微鏡観察は必要不可欠である。Bi_2Sr_2Ca_1Cu_2Ox系酸化物はa=a_0,b=4.8b_0,c=c_0(a=a_0=054nm,c_0=31nmは基本斜方Bi_4Ti_3O_<12>型構造の格子定数)の斜方単位格子をもつが、b軸方向に不整合な変調構造がある。この変調構造の詳細、その生因と超伝導特性との関連を知るため多くの研究がなされたが、まだ不明の点が多い。我々は原子スケ-ルの高分解能電子顕微鏡観察を行い原子配列を解析するとともに、広い領域の格子像観察から周期4.5b_0と5b_0をもつ二種類のドメインが混在するというモデルを提案し実験結果を良く説明できることを明かにした。 2:高分解能透過電子顕微鏡法とともに電子エネルギ-損失スペクトロスコピ-(EELS)法は物質の分析評価や、電子状態の解明にとって非常に重要な新しい研究手段である。パラレル検出EELS法を用いて超伝導酸化物における酸素原子のK殻励起端近傍の微細スペクトルを測定し、エネルギ-約530eVに電子空孔(ホ-ル)の存在を示すピ-クを見いだした。Yー、Biー、およびT1ー系超伝導化合物についてホ-ル濃度と化学組成、結晶構造との関係を詳しく求め、Tcの上昇とともにホ-ル濃度が減少することを明かにした。さらにこのピ-クは結晶方位に依存することを見いだし、ホ-ルがCuーO面内の2pxy軌道に在ることを結論した。 3:均一で高密度の高Tc超伝導酸化物薄膜を作成することは、一般に容易ではない。Biー系酸化物を液相から急冷して非晶質試料を作成した後これを適当な温度に加熱すると高密度の高Tc薄膜ができることがアメリカ側で見いだされた。この試料について高分解能観察を行いEELSの結果と組み合わせて薄膜の微視的構造とTcとの関連を明らかにした。この研究は現在なほ継続進行中である。
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