研究分担者 |
毛 志〓 浙江大学, 材料化学工程系, 教授
梅 祖彦 清華大学, 水利工程系, 教授
陳 南平 清華大学, 材料研究所, 所長
HIGUCHI H. ミネソタ大学, 航空力学科, 助教授
SONG C.C.S. ミネソタ大学, 水力研究所, 教授
ARNDT R.E.A. ミネソタ大学, 水力研究所, 所長
大山 信 スズキ株式会社, 技術研究所, 所長
佐藤 譲之良 日立製作所, 日立工場, 副技師長
大島 亮一郎 東北学院大学, 工学部, 教授
松平 晏明 東京都立科学技術大学, 教授
伊藤 幸雄 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (70006196)
井小萩 利明 東北大学, 機械工学科, 助教授 (90091652)
加藤 康司 東北大学, 機械工学科, 教授 (50005443)
CHEN Nan-ping Director, Institute of Material Science, Tsinghua University
MAO Zhi-yuan Professor, Department of Material Chemistry, Zhe-jiang University
MEI Zu-yan Professor, Department of Hydraulic Machinery, Tsinghua University
|
研究概要 |
1.実機においては、土砂摩耗と壊食が共存している複合壊食の状態があるが、その支配的なものは土砂摩耗である。そして、摩耗形態をみると、引っかき摩耗のPloughingタイプが主で、wedgeタイプも若干認められる。よって、この様な複合壊食の状態をシミュレ-トする実験装置としては、噴流式またはベンチュリ式壊食試験装置が最適であることを示した。 水中噴流壊食試験装置においては、キャビテ-ション係数δ=0.1〜0.2の範囲に、土砂摩耗ではδ=0.6に設定するのが効果的である。そして、壊食量は複合損傷により増加し、複合壊食による壊食量は摩耗のみの場合に比べて、土砂濃度を変えた時で1.2〜1.4倍、土砂粒径を変えた時で1.3〜1.4倍となる。 2.実河川(中国長江)での空中噴流実験を行い次の結果を得た。 (1)河川砂と人工砂Al_2O_3による壊食量の比較より、砂の特性差を評価できれば人工砂による結果が有効である。 (2)長江土砂混入水による供試材の耐土砂摩耗は、サイアロン》13Crー5Ni鋳鋼≧SUS304>バイロコ-ト》アルミニウムの順となりセラミックスの耐土砂摩耗性が著しく優れている。 3.噴流試験結果は、砂粒の最大食込み度^Dpmax、無次元せん断強度fを用いると、次式で表わされる。 ここで、Pは衝突粒子の密度、θは衝突角度、Vは衝突速度、Hは材料の硬さである。 なお、空中、水中試験結果のいずれも、ploughingタイプの摩耗領域の存在し、これらは電子顕微鏡SEMによる観察結果と一致している。 4.材料の耐摩耗性と摩耗形態には明らかに強い相関がある。すなわちSEM観察によると、壊食量の少ない金属・セラミックス複合材ではwedgeタイプはほとんど認められず、ploughingタイプが支配的である。 5.種々の摩耗因子に対する摩耗試験より、空中噴流と水中噴流間の十分な相関性を認めた。なお、材料の摩耗性に及ぼす影響因子としては、流速が最も大きいが、衝突速度によっても異なるが、自然現象によって左右される土砂濃度は最大1乗、粒径は最大3乗に比例して影響するので、実環境の特性を十の考慮して耐土砂摩耗性を評価すべきである。 6.金属材料、セラミックス、高分子コ-ティング材料の耐土砂摩耗、耐壊食特性の評価を行った。耐複合壊食性材料の開発を目的として、オ-ステナイト系の20Crー4Niー10Mnー6Coー1.5Moー0.2N鋼(ベ-ス金属)に、4種類の炭化物系セラミックス、SiC,TiC,Cr_3C_2,WCを5〜15Wt%の範囲で複合させた肉盛材を、粉体プラズマ溶接により製作し、それらの耐壊食、耐壊耗性および耐複合壊食性の評価を行った。その結果、ベ-ス金属の耐壊食性および耐摩耗性は、SiC,TiC,WCおよびCr_3C_2の各セラミックスとも添加量を増すほど改善されることを示す。特に、SiC複合材は5〜15wt%の添加範囲で硬さがHv=350〜700となり、耐壊食性の改善効果が最も大きい。SiC複合壊食性は、粒径8μm人工砂、濃度30g/l、流速40m/sの条件で、摩耗のみのものに比べて、1.1〜1.3倍加速される。しかし、この材料はベ-ス金属に対し、耐土砂摩耗性が1.7〜3.4倍、耐複合壊食性が1.5〜3.8倍向上する。また、耐壊食性は6〜14倍向上する。そして、この材料は加工性もよく、優れた水車用耐複合壊食材であることを確認した。 7.従来よりも2〜3桁も大きい壊食率を有する激しい壊食の存在を実際のポンプおよび回転円板試験において確認した。そして、その激しい壊食の原因は渦キャビテ-ションであることを明確にし得た。また、壊食性を高めているのは、渦キャビテ-ションへの有効なキャビテ-ション核の供給であることを明らかにした。 8.キャビテ-ション核、流れを同じ状態にした壊食に係わる衝撃圧の寸法効果を調べた結果、nべき則のnは1程度であることを示し、従来言われているような6ではないことを明らかにした。
|