研究課題/領域番号 |
63044026
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
鈴木 庄亮 群馬大学, 医学部, 教授 (40010011)
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研究分担者 |
LEE Eun Sul 米合衆国州立テキサス大学, 健康科学センター, 教授
ROBERTS Robe 米合衆国州立テキサス大学, 健康科学センター, 教授
青木 繁伸 群馬大学, 医学部, 助教授 (90134527)
野本 文幸 群馬大学, 医学部, 助手 (00180787)
町山 幸輝 群馬大学, 医学部, 教授 (40010194)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1989年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1988年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | THI / 東大式自記健康調査票 / 精神保健 / 質問紙 / 青少年精神保健 |
研究概要 |
1.思春期小児の精神保健の現状、問題の構造および調査方法論をめぐって日・米・韓国において数回にわたり討論の機会をつくった。第1回は1988年7月25日から1週間日本側鈴木庄亮・町山幸輝・竹内一夫・佐藤泰一の4人がヒュ-ストンを訪れ現地の学校を視察し、日本の現状を「お元気ですかアンケ-ト」の結果により説明した。第2回は1989年10月にR.E.RobertsとE.S.Leeが来日し、東京大学において「精神保健調査方法論」のシンポジウムを開催した。これには韓国より3名、日本国内より約15名の参加があり、熱心な討議が行なわれた。第3回は1989年7月に青木繁伸と野本文幸が訪米し、R.E.Roberts.E・S.Lee.竹内一夫と日本での調査結果を発表し討議した。1990年1月にはE.S.Leeが訪日し、日本側の研究結果とTHIーJuniorの英語版の討議を行なった。第4回は1990年1月に韓国でE.S.Lee、Yoon Shin kim、HoーYong Lee、Seun Chul Shinほか韓国延世大学グル-プは韓国ソウルで「韓・日・米の地域精神保健セミナ-」を開催し、討論を深めた。これら4回の討論の機会により、3か国の思春期小児の精神保健の現状、研究の動向および調査研究方法が相当程度明らかにされた。思春期小児の薬物濫用、民族問題、家庭問題が大きいのは米国;首都への人口集中のひづみ、入試の圧力が大きいのは韓国;そしていじめ、不登校、摂食障害などが顕著なのが日本という特徴が確認された。 2.精神保健調査方法、特に質問紙の検討.思春期小児の精神保健のpopulation survey実施上の問題は、施設や家庭の集団をどう扱うか、サンプル抽出のデザインをどうするか、質問紙と面接の標準化をどうするかなどである。質問紙は、東大式自記健康調査票THI、Todai Health Index;ジュニア版THI、THI for juniors;THIをわずかに変えた思春期用THIーA、THIーAdolescentとそのフェイスシ-ト;中高校生の家庭・学校生活と自覚的健康に関する「お元気ですかアンケ-ト」の4種類である。共同討議によりすべての質問紙について計画を上まわって英・韓国語版を完成させた。 3.ジュニア版THIの作成.思春期青少年の精神保健のために新たに110問で8尺度から成る質問紙を作成した。1,215名の中学生の応答例から、数回の因子分析をし、10尺度をつくりその内的整合性を確かめた。ラタ-の面接診断による結果とつき合わせることにより妥当性をたしかめ行動障害の正診率83%、情緒障害のそれ63%を得た。この質問紙とTHI又はTHIーAを比べると前者の方がより精神心理測定に中心が置かれている特徴がある。 4.「お元気ですかアンケ-ト」により、日本の都市と比べ農村地域の小中高校集団は、三世代、自営業者、働く母の生徒が多く、部活に力を入れ、塾通いが少ない特徴がみられた。韓国での結果と比較しつつある。 5.THIーA調査とその結果.THIーAはTHIとほぼ同一の130問の質問と、これに家族構成、住居、引っ越し回数、アルバイト、父母の学歴・職業などについてのフェイスシ-トを加えた質問紙である。群馬県内の3つの中学校と2つの高校の男女580名と682名、合計1262名について実施した。韓国はソウル市内の中高校生約600名、米国はテキサス州サンアントニオ市の中高校生約700名について実施した。日本の実施結果を用いて、中高男女別に単純集計をし、大人の場合と比較し、数回因子分析し、ほぼ大人での尺度構成でよいことを確認した。喫煙と飲酒の質問項目に対して、実施校長からクレ-ムがつく場合が多かった。尺度得点は、多くの尺度で高校生集団の平均尺度得点が中学生あるいは20歳のそれより高値である特徴が示された。特に多愁訴、呼吸器、情緒不安定、抑うつ性、生活不規則性の尺度で高校生集団が男女とも高かった。高校生集団が特に低値である尺度は虚構性と攻撃性の2つであった。韓国の高校生の平均尺度得点は、日本の高校生のそれより何故か著しく高値を示した。現在、米国の結果とつき合せ、3カ国の差異を明らかにし、その要因を検討しつつある。
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