研究課題/領域番号 |
63044032
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教授 (30134638)
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研究分担者 |
シュールマン ジョー ヒューズ研究所, 研究員
バハラ ケリー カリフォルニア工科大学, 工学部, 助教授 (98999999)
ヤリフ アムノン カリフォルニア工科大学, 工学部, 教授
高橋 琢二 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員 (20222086)
寒川 哲臣 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員 (70211993)
榊 裕之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90013226)
生駒 俊明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80013118)
SCHULMAN Joel N. Hughes Research Laboratory
YARIV Amnon California Institute of Technology
VAHALA Kerry California Institute of Technology
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 量子井戸箱 / 量子井戸細線 / 分子線エピタキシ- / 有機金属気相成長 / バンド理論 / 歪み効果 / 強磁場 / 半導体レ-ザ |
研究概要 |
最近、半導体量子井戸細線や量子井戸箱構造などの多次元にわたる量子マイクロ構造の作製の試みが、世界各所で行われているが、現在のところまだ実現されていない。本研究では、このような量子マイクロ構造のレ-ザへの応用の可能性を明らかにするために、米国カリフォルニア州パサデナにあるカリフォルニア工科大学と共同で、量子マイクロ構造、すなわち量子細線構造・量子箱構造の作製技術の開拓、電子状態の物理の理論的解明、および量子井戸細レ-ザ・量子井戸箱レ-ザの極限性能に関する議論をすすめた。また、強磁場内に量子井戸レ-ザを置くことにより、量子マイクロ構造の等価的な実現をはかり、そのダイナミックスおよびスペクトル特性の物理を明らかにした。 この協同研究は、東京大学側として、荒川(代表者)、生駒、榊、寒川、高橋がそれぞれ参加し、またカリフォルニア工科大学側は、ヤリフ、バハラ、そして元同大学客員研究員で現在ヒュ-ズ研究所にいるシュ-ルマンがこの共同研究に加わった。この共同研究では、(1)マサチュ-セッツ工科大学の国立強磁場研究施設で20テスラを発生できるビッタ-マグネットあるいは30テスラの超伝導マグネットを用いて、量子井戸箱レ-ザの基本特性を議論し、量子閉じ込め効果がレ-ザ特性の向上に有効であることを実験的に明らかにすること、(2)量子井戸細線・量子井戸箱構造の電子状態wp詳細に検討すること、(3)量子井戸箱、量子井戸細線構造の作製技術について検討を行うこと、(4)量子井戸箱レ-ザの特性の極限的性能を理論的に明らかにすること等が具体的な研究テ-マとして設定され、実施された。 幸い3年間の共同研究の結果、いくつかの重要な成果を得ることができた。すなわち、量子井戸レ-ザを強磁場内におき、その強磁場の印加方向に対する依存性を明らかにすることにより量子井戸箱構造が半導体レ-ザの中で実現されていることにより量子井戸箱効果が半導体レ-ザのなかで実現されていることを確認することができた(文献1)。また、量子井戸箱レ-ザの極限性能についても議論し、達しうるレ-ザ特性の限界を明らかにした(文献2)。さらに、量子井戸細線の電子状態についても強結合理論を用いて議論した。特に、価電子帯の電子状態が大幅に変わることが明らかにされた。また、歪みの効果の両方の利点を取り入れることができることを示した。これらの結果に基づき、量子細線レ-ザの特性について議論し、達し得る特性を明らかにした(文献3ー5)。一方、量子井戸細線の作製技術についても議論をすすめた。 カリフォルニア工科大学側はMOCVD法と電子ビ-ムで描画されたSiO_2マスクを用いて選択成長を行い、優れた成果を得た。一方、東京大学側は、分子線エピタキシ-法を用いてオフ基板上に極微構造を形成する方法を試みた。また、有機金属気相成長法と電子ビ-ム照射を組み合わせた電子ビ-ム誘起気相成長法を行い、1000オングストロ-ム程度の細線構造の形成を実現した。これらの作製手法については、相互の独立性を保ちながら緊密な議論を重ねた。 本共同研究は、もともと荒川が1984年から1986年までカリフォルニア工科大学に滞在していたことから始まったものであり、本共同研究プロジェクト自体が始まる前から共同研究が実質的には既に行われていた。したがって、本共同研究は、ある程度順調に進めることができたのではないかと思われる。もちろん、実験のためのサンプルの準備、測定器の調達等について、東大とカリフォルニア工科大学との共同研究として、マサチュ-セッツ工科大学という第3の場所で行ったため、多くの困難を乗り切る必要があったことは言うまでもない。なお、併せて、この分野の研究調査も行った。
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