研究課題/領域番号 |
63044033
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山田 作衛 東京大学, 原子核研究所, 教授 (70011658)
|
研究分担者 |
CASHIMORE Ro オックスフォード大学, 教授
SCIULLI Fran コロンビア大学, 教授
GUENTER Wolf ドイツDESY, 主任研究員
笠井 聖二 東京大学, 原子核研究所, 学振特別研究員 (70221869)
久世 正弘 東京大学, 原子核研究所, 助手 (00225153)
徳宿 克夫 東京大学, 原子核研究所, 助手 (80207547)
石井 孝信 東京大学, 原子核研究所, 助手 (90134650)
浜津 良輔 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20087092)
広瀬 立成 東京都立大学, 理学部, 教授 (70087162)
奥野 英城 東京大学, 原子核研究所, 助教授 (10013400)
WOLF Guenter Deutsches Electronen Synchrotron, Germany ; Lead. Scientist
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
23,000千円 (直接経費: 23,000千円)
1990年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1989年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1988年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
|
キーワード | 電子・陽子衝突 / 素粒子実験 / HERA / ZEUS / ハドロンカロリ-メ-タ- / コッククロフトワルトン型電源 / パイプライン方式トリガ- / 並列処理 |
研究概要 |
本研究は、ドイツ電子シンクロトロン研究所に建設される電子・陽子衝突装置HERAにおいて国際共同実験ZEUSを行ない、素粒子物理学を研究するものである。HERAは重心系エネルギ-が314GeVの装置で、ミクロの観点からは、電子・クォ-ク衝突装置と見なせる。陽子の超微細な構造の他、さらにクォ-クの構造や、近距離での素粒子相互に働く力の研究を行う道が開ける。そのためには、実験装置が生成粒子のエネルギ-を精密に測れるものでなくてはならない。この3年間に、汎用大型測定器の建設を中心に研究が進められたが、主要な目的と成果は以下の点である。 1)高性能ハドロンカロリ-メ-タ-の建設 2)半導体検出器利用の電子・ハドロン分離装置の開発 3)パイプライン方式による初段トリガ-回路の製作 4)シミュレ-ションソフトウェアの整備とそれを用いた初段トリガ-条件の検討 各項目の詳細と得られた成果を記す。 1)のカロリ-メ-タ-に関しては、本研究開始以前の調査研究で基本的性能試験がなされ、劣化ラウンを吸収材とし、プラスチックシンチレ-タ-を検出器として用いる設計の大すじは作られていた。本研究では、汎用測定器に組み込む大型検出器であることを考慮して細部におよぶ仕様設計をつめ、建設を開始、3年間で総数約50台のカロリ-メ-タ-を完成した。年度末には、全数が測定器中に搬入設置される。プロトタイプのビ-ムによる試験の結果、期待どおり従来に比べて遥かに優れたエネルギ-分解能を示した。シンチレ-タ-からの光を電気信号に変換する光電子増倍管は、全数について、自動較正システムで検査、較正した。また光電子増倍管に高電圧を供給するため、新たにコッククロットワルトン型の倍圧整流電源を開発したが、これにより、高圧電源を簡単に制御することが可能となり、測定器内の発熱量も従来の抵抗分割型に比べて十分の一に抑えることが出来た。電圧制御用の回路としては、CAMAC系とVME系の両者を開発した。 2)総数一万枚の半導体検出器をカロリ-メ-タ-中に設置して、生成粒子が電子かハドロンかを区別するが、システム設計を完了し、現在大量生産の段階に入っている。これによって、重いクォ-クの生成を判別する際の効率が上がるものと期待されている。 3)HERAのビ-ム衝突頻度は毎秒当り約1000万回であり、これまでの衝突装置に比べて桁ちがいに大きい。一方、ビ-ム衝突によって起こる反応を記録するかどうか判断するには、およそ20万分の1秒程度の時間が必要である。この困難を解決するため、初めて、パイプライン方式のトリガ-回路を導入した。並列処理型のCPUを複数用いて多くの検出から出る情報を並列に処理する。試験の結果、デ-タ取得チェ-ン内で有効に働く事が確かめられた。この方式は、今後の高強度衝突装置での実験に広く応用できるものである。 4)HERAでの物理反応、バックグランド反応ともに非常に複雑なため、入念なシミュレ-ションが必要である。種々のコ-ドが国際協力によって整備された。シミュレ-ションには、多大のCPU時間を要したため、異なった条件のシミュレ-ションを国際協力で作り、相互にデ-タを交換して、シミュレ-ションデ-タを完備した。これを用いて、トリガ-条件の検討を行ない、実験に際して適用できる条件を求めた。 1)〜4)全ての活動は緊密な国際協力の下でなされた。情報と部品の頻繁な交換のほか、実験現場であるDESYに関連協力者が集まって行う共同作業と協議は非常に効率的であった。
|