研究課題/領域番号 |
63044048
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
塚本 修巳 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30017975)
|
研究分担者 |
E Bobrov マサチューセッツ工科大学, 江立磁気研究所, 上級研究員
Y Iwasa マサチューセッツ工科大学, 国立磁気研究所, 上級研究員
西嶋 茂宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00156069)
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90134642)
船木 和夫 九州大学, 工学部, 助教授 (60091352)
NISHIJIMA S Osaka University
IWASA Y M. I. T.
FUNAKI K Kyusyu University
FUJITA H Tokyo University
BOBROV E M. I. T.
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
キーワード | 超電導マグネット / 高電流密度 / 高安定度 / クエンチ / 擾乱 / 導体の動き / 擾乱の抑制 |
研究概要 |
1.本研究の目的 超電導マグネットは低電力損失で大きな空間に高磁界を作れることの他に、巻線の電流密度が大きくできるのでマグネットをコンパクトにできることが大きな特長である。本研究は後者の特長をより活すため、マグネットの一層の高電流密度化と高安定化の開発を目的として研究を行なった。 具体的な研究テ-マとしては次の項目があげられる。 (1)超電導マグネットのクエンチの原因となる擾乱の発生機構の解明。 (2)擾乱の特性、エネルギ-の大きさの定量的評価。 (3)擾乱に対する超電導体およびマグネットの応答特性の解明。 (4)擾乱の抑制方法の検討。 (5)マグネットのクエンチ検出と保護方法の検討。 2.研究の経緯 本研究においては昭和63年度から平成2年度までの3年間にのべ8人の日本側研究者を米国側の研究機関に派遣し、また、のべ5人の米国側研究者を招へいし共同研究を実施した。 さらに、本研究の実施している過程で本研究に直接関係する国際シンポジウムを開催する計画が生まれ、本研究の参加者が主体となり、平成2年11月に超電導の安定性に関する国際シンポジウム(Sym posium on Superconductor Stability,SSS'90)を開催した。世界各国の研究者の研究発表討論を通し、超電導の安定性の最新の研究および今後の研究の動向について密度の高い情報交換を行なうことができた。 3.本研究成果の概要 本研究成果の概要を、上記具体的研究テ-マごとに要約すると以下のようになる。 (1)擾乱の発生機構の解明:超電導マグネットが導体の臨界電流に達しない前にクエンチを起こす原因として、導体の局所的、突発的動きによる摩擦発熱、構造材のひび割れに伴う歪エネルギ-の放出による発熱の2種類の機械的擾乱が重要であることがわかってきた。 (2)擾乱の特性、エネルギ-の定量的評価:導体の構造と擾乱エネルギ-の大きさを定量的に関係づける式を導出し、その結果は実験デ-タを良く説明していることがわかった。さらに導体やスペ-サの寸法不整の統計的ばらつきを数式的にあらわし、マグネットのクエンチ確率を定量的に評価する方法を明らかにした。 (3)擾乱に対する超電導体、マグネットの応答:マグネットに生ずる擾乱が局所的パルス的であることがわかったので、これをもとに導体をクエンチさせるのに必要な最小エネルギ-の大きさと安定化材の量との関係を求めた。その結果を従来求められていた実験結果を良く説明できることがわかった。 (4)擾乱の抑制方法:超電導マグネット中の超電導導体にかかる電磁応力と擾乱の発生機構との関係を討論し、マクロ的な擾乱の抑制方法、すなわち、マグネットの構造、内部電磁応力分布の最適化により導体のずれにともなう摩擦による擾乱を抑制することが重要であるという結論を得た。また、ミクロ的な抑制方法としての摩擦係数を大きくすること、スペ-サ表面に銅をプレ-ティングすること、導体およびスペ-サの寸法精度を良くすることが有効であることが明かとなった。また、三次元構造に織ったガラス繊維で強化したプラスチック材料は導体のずれに伴う擾乱を抑制することが明かとなった。 (5)クエンチ検出と保護:クエンチ過程の計算機模擬にあたり、常電導伝播の異方性を精度良く評価することが重要で、母材の抵抗率を変数として巻線層間の常電導部伝播を積層構造中の伝播として数値解析し、伝播の異方性を評価した。実験結果との比較により、本方法により良い近似で評価できることが分かった。また、強制冷却マグネットについて、保護方式について討論を行なった。この方式特有な問題点としてクエンチ時の導体内の冷媒の圧力上昇が指適され、速やかなクエンチ検出方法が重要な問題であるとの結論を得た。この課題についても今後の課題として残された。 以上、本研究は超電導マグネットの高電流密度化、高安定化のための技術に貢献することができたと考える。
|