研究課題/領域番号 |
63044058
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
堀田 明男 静岡大学, 教養部, 教授 (00022111)
|
研究分担者 |
J. Dubach マサチューセッツ大学, 大学院核物理, 助教授
G.A Peterson マサチューセッツ大学, 大学院核物理, 正教授
松山 晶彦 静岡大学, 教養部, 助教授 (90190545)
鈴木 俊夫 日本大学, 文理学部, 助手 (70139070)
玉江 忠明 東北大学, 理学部, 助手 (10124174)
PETERSON G.A. University of Massachusetts, U.S.A.
DUBACH J. University of Massachusetts, U.S.A.
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
|
配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 核の芯偏極効果(CP) / 中間子交換電流(MEC) / 核内の相対論的効果 / 核及び核子と電子散乱 / 横成分形状因子 / 核内の核子とクオ-ク自由度 / 高運動移行領域 / 中間エネルギ-核物理 |
研究概要 |
1.MIT-Bates研究所を利用して、特殊180°電子散乱装置を併用して行った実験の結果、次の成果が得られた。 (1)^<117>Sn核の弾性散乱M1励起、及び0.159MeV(3/2)^+、0.317MeV(11/2)^-、0.712MeV(7/2)^+の低励起準位の横成分形状因子を世界で初めて測定した。この新デ-タは原子核の芯偏極効果について新しい情報をもたらした。即ち、芯偏極効果は、従来Pb、Tlの基底状態と高スピン・ストッレチ準位等の単一粒子模型の予測値からのクエンチングを良く説明してきたが、^<117>Snの場合、基底状態と低励起準位の大きなクエンチングを統一的に説明することに成功した。 (2)^<41>Ca核について、運動量移行q=0.92〜1.99fm^<-1>の領域で、弾性磁気的形状因子を新たに測定した。この領域ではM3とM5励起が主な寄与をもたらすことが判明したが、測定値は単一粒子模型の予測値を下まわっている。芯偏極(CP)と中間子交換電流(MEC)効果を考慮にいれたところ、計算値と測定値の一致に改善が見られた。 (3)^4Heからの非弾性電子散乱実験を行い、励起エネルギ-54MeVまでの横成分断面積を測定した。測定値は、低い運動量移行で、RCCSM(Recoil-corrected continuum shell model)の予測値と量的に合うが、高運動量移行では一致が悪い。この新デ-タは、4核子系の構造についての理論的解明を喚起し、更に、(γ、n)(γ、p)においてパズルとされた「荷電対称性の破れ」に解決の示唆を与えるものと期待される。 2.MIT-Bates研究所で、320MeVから1000MeVのエネルギ-の電子を液体重陽子タ-ゲットに入射し、運動量移行Q^2=30から48fm^<-2>の領域で、重陽子の横成分断面積を1.5MeV FWHM以上の高分解能で、しきい値(Threshold)近傍で測定した。高分解能を得るために、測定系の改良と試作テストを1年半にわたり行い、1×10^<-40>cm^2/sr/MeVまでの断面積の測定を可能にした。MEC効果、EC効果更に相対論的効果を解明する中間デ-タが得られた。最終デ-タを解析中である。 3.スタンフォ-ド大学SLAC研究所を利用して、重陽子の横成分断面積を、180°電子散乱により、Q^2領域1.21から2.77(GeV/C)^2の高運動量移行で測定した。MEC効果及びクオ-ク・ハドロンハイブリッドモデル等を考慮した非相対論的計算は、この新デ-タと定量的に合わなかった。新デ-タからのW1(応答関数)及びW1/W2は、最近開発された相対論的モデルの計算結果と良い一致が見られ、相対論的モデルの検証として、注目される結果をもたらした。 4.MIT-Bates研究所へ提出した国際共同実験課題申請が、課題採択委員会(PAC)で採択された。 (1)D(e,e'p)Coincidence Measurement at Low Energy and High Momentum Transfer Region. これは、日本グル-プが中心になり検討した結果の課題である。この実験は、σ_L、σ_Tの他にσ_<LT>をOut-of-Planeコインシデンス法で測定し、核のMEC効果及びIC効果と相対論的効果などに関し、シングル・ア-ム実験(e,e')では得られないより複雑な事柄を探ることを目的とする。 (2)Measurement of the Elastic Magnetic From Factor of ^3He at High Momentum Transfer. これは、Q^2領域31から54fm^<-2>で、^3Heの弾性磁気的形状因子を測定し、この領域の種々の理論による異なった予測を検証し、少数体核子系の基本作用の解明を目的とする。 これらの実験は、1990年から1991年にかけて準備を行い、1992年1993年に実験を計画している。
|