研究課題/領域番号 |
63044061
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 核融合科学研究所 (1989-1990) 名古屋大学 (1988) |
研究代表者 |
藤田 順治 核融合科学研究所, 教授 (50023700)
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研究分担者 |
HOLMES A.J.T カラム研究所, 研究員
GROSMAN A. カダラーシュ原子力研究所, 研究員
BRETON C. カダラーシュ原子力研究所, 研究員
多幾山 憲 広島大学, 工学部, 助教授 (40112180)
TACHON J. カダラーシュ原子力研究所, 研究員
伊藤 慶文 大阪大学, 工学部, 助教授 (00127185)
政宗 貞男 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (00157182)
毛利 明博 京都大学, 教養部, 教授 (10025926)
門田 清 名古屋大学, プラズマ科学センター, 助教授 (60093019)
尾崎 哲 核融合科学研究所, 助手 (50183033)
小川 雄一 核融合科学研究所, 助手 (90144170)
大薮 修義 核融合科学研究所, 助教授 (60203949)
本島 修 核融合科学研究所, 教授 (60109056)
山本 純也 核融合科学研究所, 教授 (00029208)
池上 英雄 核融合科学研究所, 教授 (10023699)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
1990年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1989年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | トカマク / 周辺プラズマ / 電子密度分布 / プラズマ診断 / エルゴディック層 / ビ-ムプロ-ブ分光 / スペクトル線強度比 / エルゴディックダイヴァ-タ |
研究概要 |
1.研究目的:定常核融合炉の開発を目指した高温プラズマの長時間閉じ込めに関する研究において、プラズマと壁との相互作用、燃料補給・灰排出等の粒子制御は不可避の研究課題である。フランス・カダラ-シュにある超伝導コイルを用いた長時間放電トカマク[TORE SUPRA]では、エルゴディックダイバ-タによる粒子制御実験を行おうとしているが、そのためには、周辺プラズマの電子密度分布を高い空間分解能をもって測定する必要がある。本研究の目的は、我々が独自に開発したビ-ムプロ-ブ分光法のTORE SUPRAトカマクへの適用性を調査し、周辺プラズマの電子密度分布測定法を確立することにある。 2.研究経過:ビ-ムプロ-ブ分光法は、プラズマ中に中性粒子ビ-ムを入射し、プラズマ中での種々の原子過程、放射過程を利用して、プラズマの諸物理量を測定しようとするものである。当初は、レ-ザ-ブロ-オフ法により中性リチウムビ-ムを入射し、その発光分布から電子密度分布を求める手法を適用する計画で検討を進めたが、現地における度重なる研究打合わせ及び検討の結果、この手法は、TORE SUPRA装置に現存する不純物入射用ブロ-オフ源の使用が可能であり、むしろ、エルゴディックダイバ-タの作動によって実現しようとしている周辺部のより高密度の電子密度分布を高空間分解能(〜1cm)で測定し得る手法を開発して欲しいとの要請を受けた。そこで、当初計画されていたレ-ザ-ブロ-オフ法に加えて、高速のリチウム、水素、へリウムを用いたビ-ムプロ-ブ分光法について詳細な検討を行い、TORE SUPRAトカマクへの適用性を検討した。その結果次のような第1段階での結論が得られた。即ち、エルゴディック層における10^<14>cm^<-3>程度の電子密度分布は、10〜30keVの高速ビ-ムを用いれば原理的に測定可能である。まず、リチウムを用いる場合には、電子衝突による発光効率が大で、高い信号対雑音比での計測が可能ではあるものの、高電子密度でのビ-ム強度の減衰が大き過ぎる。次に、水素を用いる場合には、既存のビ-ム源を利用できる利点はあるが、発光強度の電子密度依存性が弱く、測定精度が問題となる。最後にヘリウムを用いる場合には、新たにビ-ム源を用意しなくてはならないことと、ビ-ム源からのへリウムガスの排気の問題はあるものの、測定精度、測定範囲等の点で最も優れている。しかし、真空紫外域の分光検出系を用意する必要がある。また、新たな問題点として、トカマクの漏洩磁場がビ-ム源の動作及び検出系の特性に影響を及ぼす可能性があることが分かり、その対策として、漏洩磁場分布を求め、影響の調査を行った。 3.結論:高速粒子ビ-ムをプラズマに入射し、プラズマ電子との衝突による発光スペクトルのうち、二つの異なった遷移に対応するスペクトル線の強度比を測定することによって、電子密度分布を求めることが可能である。まず、水素を用いる場合には、真空紫外域の分光検出系を用意する必要があるが、既存のビ-ム源を利用できる利点がある。次に、ヘリウムを用いる場合には、新たにビ-ム源を用意しなくてはならないが、二つのスペクトル線の波長が近接しているため、分光検出系の感度較正が容易であるという利点を持つ。但し、ビ-ム源からのへリウムガスの排気の問題はあるが、測定精度、測定範囲等の点で最も優れており、現存する水素ビ-ム源にヘリウムをド-ピングして用いることも可能である。これらの結論に基づき、現在、プラズマからの背景光測定、漏洩磁場分布測定、ヘリウムビ-ム源及び真空紫外域分光検出器の仕様検討と、実機に装着し得る機器の設計を行い、高空間分解高電子密度分布計測装置の仕様書を完成されるための作業を続けている。 なお、本研究は、当初予定されていた研究計画に対し、TORE SUPRAトカマクの予期せざる故障による実験計画の遅れ、名古屋大学プラズマ研究所の核融合科学研究所への移行と、それに伴う本研究組織の変更のため、研究遂行に支障を来し、不満足な部分を残したまま終了せざるを得なかった。従って、近い将来、実際にTORE SUPRAトカマクへ適用して、本研究で得られた成果の確認を行いたいと考えている。
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