研究課題/領域番号 |
63044067
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
稲垣 道夫 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (20023054)
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研究分担者 |
A.R. Bunsell パリ鉱物高等専門学校, 教授
A. Oberlin ポー大学, マルセル・マシュー所究所, 所長
逆井 基次 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50124730)
安田 榮一 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (70016830)
菱山 幸宥 武蔵工業大学, 教授 (90061499)
OBERLIN Agnes Director, Laboratoire Marcel Mathieu
BUNSELL Anthony R. Professor, Ecole Superieur des Mines de Paris
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
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キーワード | メソフェ-ズ / 微細組織 / 高分解能電子顕微鏡 / 引張強度 / 磁気抵抗 / 熱膨張係数 / ワイブル分布 / 走査電子顕微鏡 |
研究概要 |
将来の重要な素材として注目されるメソフェ-ズピッチ系炭素繊維について、そのX線回折法による構造解析、高分解能透過電子顕微鏡による微細組織の解明、および走査電子顕微鏡による組織の解明、さらに磁気抵抗の測定による黒鉛構造の発達および配向の評価を通して、各種物性(機械特性、電磁気特性、熱特性、およびインタ-カレ-ション挙動)の構造、組織への依存性を解明することを目的とした。 切欠きを持つラディアル(試料Iー1)、ラディアル(Iー2)、無秩序(Iー3)、オニオン(Iー4)の4種の断面組織を持つメソフェ-ズピッチ系炭素繊維の、炭素化処理したものおよびそれをさらに3000℃付近に黒鉛化処理したものを、共通試料として、各研究グル-プに配布した。また、前駆体メソフェ-ズピッチの構造および微細組織を高分解能透過電子顕微鏡を用いて、さらにメソフェ-ズピッチの粘弾性挙動についても検討した。 光学顕微鏡および高分解能透過電子顕微鏡観察の結果、前駆体ピッチは2相からなり、光学的に等方性の球が、異方性メソフェ-ズピッチ・マトリックス中に分散していることが明らかとなった。スピニングおよび炭素化後もこの2つの相は明確に区別でき、黒鉛化後には前者は多孔質の難黒鉛化性の炭素となっており、後者は高い黒鉛化度を持つ層状構造に発達する。 X線回折および磁気抵抗の測定結果は、光学および電子顕微鏡の観察結果とよく一致していた。試料Iー1は最も高い黒鉛化度を示し、最も大きな結晶子を持っている。また、それは繊維軸に関する黒鉛層の選択的配向においても最も高い配向度を示した。また、高忠実度走査電子顕微鏡観察結果は、磁気抵抗の磁場依存性から導いた黒鉛層面の期向スキ-ムとよく一致していた。 引張破断強度、引張ヤング率、破断歪、およびワイブル分布の測定を行った、試料Iー1は、切欠きを持つラディアル組織を持つにもかかわらず、最も高い引張強度とヤング率を持つ、この結果は、繊維断面での切欠きが必ずしも破壊の発生点となる訳ではないことを示している。むしろ繊維軸に関してより高い配向度を持つことが強度発現に重要な役割を持っていると考えられた。ワイブル係数は黒鉛化処理によって減少し、それは破断歪が大きな変動を示すようになることと関連していると考えられた。 黒鉛化処理後の繊維の1000℃までの熱膨張係数は4種の試料でほぼ同一であった。断面での微細組織は熱特性にわずかな影響しか及ぼさない。 黒鉛化処理後の4種の繊維中への硫酸のインタ-カレ-ション挙動を繊維のポテンシャルを測定することによって追跡した。その結果、インタ-カレ-ションに対して断面での微細組織が強く影響することを明らかにした。
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