研究課題/領域番号 |
63044071
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐藤 文隆 京都大学, 理学部, 教授 (90025370)
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研究分担者 |
村木 綏 名古屋大学, 理学部, 助教授 (70013430)
木舟 正 東京大学, 宇宙線研, 助教授 (40011621)
永野 元彦 東京大学, 宇宙線研, 教授 (00013384)
渡瀬 芳行 国立高エネルギー物理研, 教授 (70018662)
政池 明 京都大学, 理学部, 教授 (40022587)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
1989年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1988年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 超新星 / 超新星1987A / 宇宙ガンマ線 / パルサ- |
研究概要 |
1987年2月マゼラン大星雲の中に有視観測としては約383年ぶりに超新星が出現した。日本の神岡地下実験装置と、米国IBM地下観測装置は共に超新星爆発に伴うニュ-トリノを確認した。この観測結果は超新星1987Aの内部に中性子星が誕生したことを示唆しており、全世界でパルサ-の存在を確認する競争が現在展開されている。 超新星及びパルサ-は以前から宇宙線の発生源と考えられており、実際、超新星残骸、パルサ-及びX線連星で高エネルギ-粒子加速の存在が確認されている。一方、強磁場で高速回転する中性子星であるパルサ-及び超新星衝撃波は理論的にも高エネルギ-粒子の発生を示唆している。従って、これら加速源が超新星爆発直後に爆発放出物の厚い物質に覆われておれば、加速粒子はその物質との反応を通じて高エネルギ-のガンマ線及びニュ-トリノを発生する。この現象の可能性は1978年当時から本研究の責任者である佐藤文隆、等によって予言されていた。本研究はこのような高エネルギ-ガンマ線発生の有無を大気シャワ-検出の方法で観測しようとするものであり、パルサ-の高エネルギ-活動性の確認に寄与する実験はSN1987A観測に適したニュ-ジ-ランド・ブラックバ-チ山上で行なわれている。 本年度科研費を利用して行なったことは、100TeVガンマ線装置の運転、基本デ-タの取得、調整、つぎに大マゼラン星が秋から冬にかけて天頂近くに昇ってくるので鏡を使い超新星1987Aからの1TeV領域のガンマ線到来の有無を調べた。これらの観測により得られた成果は、世界でもっとも観測の下限値を下げることに成功し(Eγ〜100TeVで5×10^<-14>/cm^2.sec以下)、超新星1987Aパルサ-での宇宙線粒子の加速理論と星間物質量に強い制限を与えた。また1988年度に観測した10^<12>eV領域のガンマ線の観測は、その時期が銀河衛星によるX線観測の時期と一致し、超新星1987Aからのショックフロントが周辺の物質と衝突した際にX線を発生し、荷電粒子のフェルミ加速がおこった証拠として学界の注目をあびている。 一方、最近の光学観測の結果とX線観測の結果を総合すると、超新星1987Aの中心部に存在しているはずの中性子星の周囲には約10g/cm^2以上の物質が存在していなければならないことを意味しており、我々の測定結果と矛盾しない。光学観測による強度分布の最近の変化から中性子星のパルサ-の強度が10^<38>/erg.secであることが予測されまもなくガンマ線が我々の観測装置で真っ先にみえるであろうと、我々は確信している。ちなみに現在超高エネルギ-ガンマ線が観測されている白鳥座Xー3星の輝度は5×10^<36>erg.secである。大マゼラン雲と白鳥座Xー3星の距離の差約4倍を考慮しても現在の装置で数年観測すれば受信できる可能性は十分にあると思われる。
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