研究課題/領域番号 |
63044073
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 治隆 京都大学, 理学部, 助教授 (30025465)
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研究分担者 |
TERRIEN Yve サクレー原子核研究所, 中間エネルギー部, 副部長
BONIN Bernar サクレー原子核研究所, 中間エネルギー部, 上級研究員
ARUIEUX Jacq サクレー原子核研究所, サターン研究所, 所長
村上 哲也 京都大学, 理学部, 助手 (50219896)
中村 正信 京都大学, 理学部, 講師 (90025479)
小林 晨作 京都大学, 理学部, 教授 (80013465)
ARVIEUX Jacques Director, National Laboratory of Saturne
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | (n,p)反応 / デルタ励起 / 焦点面ポラリメ-タ- / 頂角測定器 / p(n,pp)π^-反応 / p(n,π^+π^-)d反応 |
研究概要 |
フランス、サクレ-にあるシンクロトロン型加速器で2.2GeVまで加速される世界最高強度の偏極重陽子ビ-ムを用いた実験として、重陽子を原子核に照射して分解させ、出て来る偏極中性子ビ-ムを用いた各種の実験をこのプロジェクトでは行った。分解反応ででてくる中性子は比較的単色で1GeVの中性子の場合そのエネルギ-分解能は40MeV程である。それ故中間エネルギ-領域で話題になっているデルタ励起を伴う反応が起き易くまた起きた場合エネルギ-分解能からいっても検知できると予想される。まず1GeVの偏極中性子ビ-ムを用いて炭素標的核による(n,p)反応の包括的エネルギ-スペクトルの測定および比較的イクスクル-シブな^<12>C(n,pn)X反応の測定をを各種の散乱角で行い、準弾性散乱及びデルタ励起が強く観測されるかのテストを行った。その結果1GeV領域ではパイオン発生を伴う非弾性過程が多くて包括的測定ではそのバックグラウンドの中に準弾性散乱、デルタ励起の過程は埋没してしまうので、これらの過程を取り出すにはエクスクル-シブにすなわち反応後発生する粒子を可能な限り全て測定してしまうことが必要と判明した。そこで(n,pp)Xおよび(n,pn)X反応の本実験の準備をおこなった。さらに散乱後の陽子の偏極度を測定する為に中間エネルギ-陽子・重陽子のポラリメ-タ-の開発に協力した。POMMEと呼ばれるこのポラリメ-タ-は基本的にはロス・アラモスで開発されたもの基本的にはと同じであるが、多芯比例計数管の読みだしに特性の前置増幅器を使用し、ビットスライス型のコンピュ-タ-を使うなど各種の工夫が施されている為、不要ななイベントを除去するのに約100μsecとロス・アラモスのより数倍よい性能をだしつつある。我々が分担したのはこのポラリメ-タ-と(n,pn)反応をつなぐソフトの部分であったが、フランス側の開発を担当している技師との議論は非常に有益で我々が現在阪大核物理研究センタ-に建設中の焦点面検出器の設計に大いに役立った。現在我々が建設中のものではこれよりさらに1桁以上の高速化を狙っており、ベンチテストではすでに3μsecで不要なイベントを除去でき、このままでいくと約30倍の性能アップが見込まれる。 順調に進んでいたこれらプロジェクトはフランス側の実質的な共同研究者であったBonin氏の転出に伴い変更を余儀なくされた。(n,pp)反応の素過程を調べる目的で同時期に平行して開発が進行していたARCOLEと呼ばれる測定器にも関与することになった。ARCOLEは3層の円柱状の多芯比例計数管と前方散乱測定用の2面の大型(1mx1m)多芯比例計数管、さらにそれらを取り囲むトリガ-用のプラスチックシンチレ-タ-群からなる測定器である。この測定器でp(n,pp)π^-、あるいはp(n,π^-π^+)dなどの終状態が3体で全て荷電粒子の場合、散乱角を測定するだけでこれらの粒子の運動学な諸量が全てわかってしまう点が特徴である。実験技術の面でも円柱状の多芯比例計数管の製作方法、多芯比例計数管の読みだし回路系、カソ-ド読みだしにFera回路、時間差測定にFeret回路を多用しているなど最新の測定技術に接することができた。このARCOLE計画に我々が参加したのは最初のテスト実験が始まったころで、我々の分担はCernで開発されたGeantと呼ばれるモンテカルロ計算のコ-ドを用いて実験をシミュレ-トすることであった。この計算結果にもとずき液体水素タ-ゲットの位置を決めた。実験は1990年6月12日より1週間行われ、日本からもそれより1週間ほど前からサクレ-にいき実験の準備に参加した。実験は概ね成功であった。唯一の問題点は予算の都合でFera回路が使えず別のもので代用している部分がうまく行かなかった程度で、それも情報を多少余計にとっているため最終的には問題ない。実験終了後収集した磁気テ-プ50本の生デ-タを8m/mビデオテ-プ2本にコピ-して日本に持ち帰って、現在日仏双方でデ-タ整理中である。この他フランス側で使用しているのと同様のソフトを開発するのに相当の労力と時間を要した。
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