研究課題/領域番号 |
63044076
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高橋 幹二 京都大学, 原子エネルギー研究所, 教授 (40027123)
|
研究分担者 |
HITZENBERGER ウィーン大学, 実験物理学科, 助教授
REISCHE G.P. ウィーン大学, 実験物理学科, 助教授
WAGNER P.E. ウィーン大学, 実験物理学科, 準教授
PREINING O. ウィーン大学, 実験物理学科, 教授
東野 達 京都大学, 原子エネルギー研究所, 助手 (80135607)
伊藤 正行 京都大学, 原子エネルギー研究所, 助手 (80109066)
笠原 三紀夫 京都大学, 原子エネルギー研究所, 助教授 (80027143)
REISCHL Georg P. Institute for Experimental Physics, University of Vienna, Assist. Professor
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1990年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 微小エアロゾル粒子 / 粒子生成 / 粒子計測 / 粒子動力学 / 大気エアロゾル |
研究概要 |
1.粒子の生成((1988ー1990) ガスからの粒子生成基礎理論では、ガス分子の粒子への付着確率の評価の不十分さが指摘された。二酸化いおうガスの大気中における酸化と硫酸ミスト生成機構の解明はは、酸性雨問題のためにも重要であり、より進んだ実験的・理論的解明が急務である。極低温・希薄ガス状態における粒子生成とその表面における化学反応もまた極地大気におけるオゾン破壊問題とも関連した重要な研究課題である。また、エアロゾルプロセスによる超微小単分散粒子あるいは微小複合材粒子の生成は、機能性新素材生成などへの工学的応用として大きな発展が期待されるが、なお検討すべき多くの技術的課題が残されている。 2.微小粒子の動力学(1988ー1990) 1)京都大学側では、4極子セルによるエアロゾル単粒子(10μm 前後)の長時間(数時間以上)の保持が可能となったが、なお対象粒径範囲の拡大や保持安定性の一層の改善、粒子移動追跡法などの応用周辺設備の整備を計る必要がある。これにより、エアロゾル粒子の物性・動力学の精密実験が可能となり、現在、レ-ザ-照射下における光吸収性粒子の加熱とその特異的挙動などについての知見がえられつつある。これら動力学的現象の理論的解明に当たって、共同研究グル-プの寄与が期待される。 2)粒子の動力学とその性状化の関係を記述する一般動力学(粒径分布変化)式の数値計算法の改良について検討した。その結果は、1.の研究などに応用されている。 3.微小粒子の測定(1988ー1990) 1)サブミクロン以下の微小粒子の粒径測定に関して、静的光散乱法および静電連法(ウイ-ン大学)ならびに動本光散乱法(京都大学)の得失について検討し、その有効性と今後の改良すべき諸問題を検討した。とくに光子相関法については、コレログラムからブラウン拡散係数を経て粒径を決定する際のデ-タ処理法、静電気法では粒子の荷電特性の測定精度への影響についての検討の重要性が指摘された。光子相関法は4極子セルとの結合により、粒子の物性や性状あるいはその時間変化のinーsitu測定など、さらに多彩な応用面が期待される。 2)ウイ-ン大学で開発したテレスコ-プ法による光吸収散乱デ-タから大気エアロゾルの粒径分布を求めるための、新しいデ-タ処理法を開発した。 なお、1990年9月エアロゾル国際会議のサテライトミ-テイングを、当共同研究グル-プのメンバ-を中心として京都で開催し、上記1ー3の諸問題について討議した。 4.大気エアロゾル(1989ー1990) 1)京都大学側においては、PIXE法による大気エアロゾル粒子の元素分析法を確立するために、標準試料を作成し、試料採取法、最適照射条件(ビ-ムの種類とエネルギ-)、吸収材の選択、特性x線スペクトルの解析法、測定精度などについて検討して、SiからPbまでの約20以上の元素について微量元素分析、すなわち通常の実大気では数時間ごとの粒子試料についての非破壊的多元素同時分析が可能となった。これにより、宇治、大阪およびウイ-ンで採取した大気エイロゾルを分析した。ウイ-ンではとくにいおう成分が多いなど、その地域的汚染特性が明らかにされつつある。この共同研究は今後もなお継続的に発展させる予定である。 2)大気エアロゾルの全地球的気候影響について、文献的調査を中心とした検討を行った。エアロゾルは気候変動による2次的粒子生成の効果も含めて、地球温度の上昇・低下のいずれにも寄与する可能性があり、とくに大気エアロゾルの光散乱特性の測定デ-タの集積とその気温影響評価のための総合的評価モデルの確立が望まれ、今後の継続的共同研究の中心課題の一つとすることが合意された。
|