研究課題/領域番号 |
63044088
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
池上 栄胤 大阪大学, 核物理研究センター, 教授(センター長) (00016031)
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研究分担者 |
G. チベル ウプサラ大学, 理学部, 教授
A. ヨハンソン ウプサラ大学, スベドベリー研究所, 教授(所長)
S. クランダー ウプサラ大学, 理学部, 教授(理学部長)
安東 愛之輔 大阪大学, 核物理研究センター, 助教授 (80044783)
小方 寛 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (30025324)
KULLANDER Sven Professor, (Dean) Faculty of Science and Mathematics, Uppsala University
JOHANSSON Arne Professor, (Director) Svedberg Laboratory, Uppsala University
TIBELL Gunnar Professor, Faculty of Science and Mathematics, Uppsala University
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 中間エネルギ-核反応 / 高励超状態核構造 / 高分解能粒子スペクトログラフ / リングサイクロトロン / 超高エネルギ-放射光発生 |
研究概要 |
スエ-デンのスベドベリ-研究所はウプサラ大学附置の国立研究所的運営がなされている国際研究機関である。ここの中心的施設はCELSIUSと呼ばれる粒子ビ-ム蓄積リングでCERN(欧州原子核研究機構)のICEリングを移して抜本的改造をほどこしたものである。CELSIUSは粒子ビ-ム蓄積冷却リングとしては国際的に先駆的施設である。 研究代表者池上は1983年にスベドベリ-研究所の前身であるグスタフ・ウェルナ-研究所から招へいされCELSIUSリング施設の中核的実験装置である広域ガンマ線・中間子スペクトログラフ(略称、PACKMAN)を設計した。以来、主としてウプサラ大学側の支弁により、一昨年までほぼ毎年二名程度の交流派遣が行われてきた。CELSIUS事業はそれまでのCERN一辺倒の高エネルギ-物理、核物理研究から脱却、スエ-デン独自の施設を設置する国策の一つであって、ここに世界最高分解能粒子観測の本核物理研究センタ-の実績を導入しようという狙いがあったからである。 一方、昭和61年度より核物理研究センタ-のリングサイクロトロン事業が文部省の手で発足し、精密中間エネルギ-核物理学の樹立に向けて新しい国際的施設が誕生することになった。これは世界の大きな機関の動向にも大きな影響を及ぼし、カナダのTRIUMFが現行のプロジェクトを縮小しK中間子施設に転換を図っているのもその一例である。(TRIUMF実験施設最高責任者クラドック博士談) 本核物理研究センタ-はこの機会に、CERNの先端的測定デ-タ収集、解析システムを支えてきたウプサラ大学側の実積の導入の目的で今度は日本側の支弁で交流の和を拡げるべく、先ず試験的に2年間計画の文部省国際学術交流の申請をし、認められた。ところが、上記の交流の段階で前述の広域スペクトログラフPACKMANが中間子発生と高エネルギ-γ線発生を同じ陽子エネルギ-で系統的に観測する成果をあげ始めた。(研究発表の項参照)また、放射光施設をも含む今後の全ての大型粒子ビ-ム施設が避けて通ることの出来ない粒子ビ-ム冷却の問題にCELSIUSを通じて触発された研究代表者が、自由ポジトロニュ-ム放射光発生原理を発見するに至った。(研究発表の項参照)これは参議院科学技術特別委員会で取り上げられ、わが国の基礎科学推進に向けて一石を投じていた事は、参院より送られた同委員会議事録によって知った。 この新原理に対する国内外の反響は大変大きくて、現行の粒子ビ-ム冷却法より桁で早い新冷却原理探索へと駆り立てたのであった。この成果の中間報告を1989年ベルリン・サイクロトロン国際会議で招待講演として公表して以来、欧米で衝撃の波紋が広がっている。この研究における本交流事業のスエ-デン側の代表者S.クランダ-教授(ウプサラ大学)の役割が大変大きいので大阪大学とウプサラ大学の成果として発表している。 本交流事業の当初の目的である実験的研究に加えて理論的成果が盛り上がりを見せ、米国の超大型計画であるSSCを含む世界の大型加速器施設の動向にも影響を与えかねない状況にある。このような背景もあって、北欧最古の歴史を持つウプサラ大学は数少ない名誉哲学博士を研究代表者に贈呈することを本年早々決定した。この紙面を借りて、本交流事業を支えていただいた文部省に深謝する次第である。平成2年度より更に交流の輪を広げようとの希望で3年計画で申請している本交流事業の延長が認められれば、大変幸先の良いことと期待している。
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