研究課題/領域番号 |
63044095
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
金子 達之助 岡山大学, 理学部, 教授 (10032799)
金子 逹之助 (1990) 岡山大学, 理学部, 教授
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研究分担者 |
ポマ イサック サン, アンドレス大学・物理学研究所(ボリウ゛ィア国), 助教授
西 克夫 理化学研究所, 研究基盤技術部・極限計測技術室, 室長
豊田 好男 神戸大学, 名誉教授
垣本 史雄 東京工業大学, 理学部, 助教授 (00092544)
吉井 尚 愛媛大学, 教養部, 助教授 (00036360)
POMA Isac Associate Professor, Instituto de Investigaciones Fisicas, Universidad Mayor de
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 空気シャワ- / 1次ガンマ線 / ガンマ線天文学 |
研究概要 |
ガンマ線は、宇宙の磁場に影響されずに直進する。また、超高エネルギ-(UHE)のガンマ線は、大気圏に突入すると空気核との相互作用により、空気シャワ-を発生させる。したがって、この空気シャワ-を地上で観測すれば、その到来方向からガンマ線の発生源の同定が可能となる。さらに、ガンマ線のエネルギ-スペクトルやその時間変化から、宇宙線の起源や宇宙線の加速・伝播の機構を解明することが、この研究の目的である。 ガンマ線源の候補として、強度の大きいX線連星や活動的な天体が挙げられる。これらは南天に多く見られる。また、1987年2月、南天にある大マゼラン星雲内で超新星(SN1987A)の爆発が起こった。超新星理論からUHEガンマ線の到来が期待されたので、この天体も新たな観測対象となった。100TeV以下のエネルギ-のガンマ線を空気シャワ-現象として捉えるには、観測場所は高い山に限られる、本研究は、南米ボリヴィア国チャカルタヤ山(5200m,68.1゚W,16.3゚S)の宇宙物理観測所にて、2つの独立した空気シャワ-観測装置(シャワ-アレイ)で行われた。1つは、観測所の周りの緩やかな斜面上に設置された30個の検出器と15個のシ-ルドされた検出器(全検出面積60m^2)からなる空気シャワ-アレイ(SASアレイ)である。他は、SN1987Aから到来するUHEガンマ線を観測するため、約30度の南斜面上に直に設置した41個の検出器からなる空気シャワ-アレイ(SNアレイ)である。 3年間の観測期間中、落雷や送電線の事故等で途中デ-タの欠損が何度かあったが、全く観測できなかった月日はない。途中、デ-タ解析から見いだされたFast Timing回路の温度依存性の問題は、回路系を恒温箱の中に入れることで解決した。また、エネルギ-の小さい領域すなわち小サイズの空気シャワ-は頻度が多く、記録系の能力を越え、結果として、デ-タの記録に不感時間が生じ、37%の欠損がでていたが、2年度にSASアレイの記録系を8ミリカセットテ-プ・システム(EXBー8200)に改善して切り抜けた。これまでの結果のまとめを以下に述べる。 1.ガンマ線の点源観測の対象として、Vela Xー1,Cen Xー3,Sco Xー1,X1822ー371,SS433,Velaパルサ-,Cen Aおよび銀河中心について、DC excessや天体の食周期に関する解析等の詳細な検討を行った。しかし、いずれの天体からもUHEガンマ線の到来は認められず、それらの強度の上限値を得たに留まっている。これらの結果は、1960年代の観測デ-タに、周期解析を考慮した再解析でVela Xー1およびCen Xー3について、UHEガンマ線の到来を示唆した結果と一致しない。観測時間は、今回の方が2倍も長い。20数年の隔たりがあるので、この不一致が時間変動によるものとしたら、なお数年から10年の観測が必要となろう。 2.注目のSN1987AからのUHEガンマ線は1988年1月以来観測を続けている。DC excessの日変動と週変動について監視を続けているが、まだUHEガンマ線到来の兆候は見られない。南半球ではオ-ストラリア、ニュ-ジ-ランド、南ア連邦および南極で観測が行われているが、現在までいずれのグル-プからも到来の報告はない。この研究では、何時到来が観測されるか、あるいはUHEガンマ線は創り出されないのかの確認が、超新星の理論構成に重要な役割を担っている。これまでに得た上限値は、100Tev以上で2.4x10^<-13>cm^<-2>s^<-1>(95%C.L.)である。 3.UHE Diffuseガンマ線(広がりを持ったガンマ線)は、上述のVela Xー1等と共に示唆されたもので、赤経12時〜14時、赤緯0度〜-40度の領域に存在する報告がある。今回の観測では、この領域には存在せず代わりに、赤経9時〜10時、赤緯-20度〜-40度の領域に4.6σ(σは標準偏差)のExcessが現れたが、小数例に対するLiーMaの方法によると、3.2σとなり統計的に有意とは言い難い。 以上の結果を基に今後の研究の方向は、空気シャワ-として観測可能な10TeV近くまで観測するシャワ-エネルギ-を下げることであろう。
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