研究課題/領域番号 |
63044103
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
戸田 英三夫 (1990) 愛媛大学, 工学部, 教授 (50036232)
戸田 芙三夫 愛媛大学, 工学部, 教授
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研究分担者 |
MENAHAM Kaft テクニオン大学, 化学部, 教授
ISRAEL Goldb テルアビブ大学, 化学部, 教授
MAIR Lahav ワイズマン研究所, 化学部, 教授
宮本 久一 愛媛大学, 工学部, 助手 (30229893)
田中 耕一 愛媛大学, 工学部, 講師 (10116949)
LAHAV Mair Professor, Weizman Institute, Israel
GOLDBERG Lsrael Professor, Department of Chemistry, Tel Aviv University, Israel
KAFTORY Menaham Professor, Department of Chemistry, Technion University, Israel
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
1990年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1989年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1988年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 分子認識 / 固相反応 / 包接錯体 / ホスト-ゲスト錯体 / 光学活性化合物 / 光学分割 / 不斉選択的反応 / 反応制御 |
研究概要 |
1.ホスト-ゲスト包接錯体結晶形成による光学分割 光学活性な2,2'ージヒドロキシー1,1'ビナフト-ル(1)とのホスト-ゲスト錯体結晶化法によってセレノキシド誘導体の光学分割を能率良く行うことができた。包接錯体結晶中での不斉認識の機構はX線結晶構造解析によって解明された。それによると、1の水酸基とセノキシドの酸素原子との間の水素結合が重要な役割を果たしていることが明らかになった。1の誘導体の1つである、9,9'ージヒドロキ-10,10'-ビフェナントロ-ル(2)の光学活性との包接錯体化によってある種のβーラクタム誘導体が極めて能率良く分割されることが判明した。この不斉認識の機構もイスラエル側のX線結晶構造解析グル-プによって解明された。ヒ素オキシドの光学分割も1との包接錯体化によって行うことができた。 酒石酸から誘導したポスト化合物(3)との包接化によってアジリジン誘導体が分割できたが、従来の分割法に比べて極めて能率良く、画期的な方法であることがわかった。オキシムの分割はこれまでに成功した例が無いが、光学活性なアセチレンアルコ-ルである1,1,6,6ーテトラフェンルー1,6ージ(0ークロロフェニル)ー1,6ージフェニルヘキサー1,6ージインー1,6ージオ-ル(4)との包接化によって効率良くの分割できた。更に、光学活性なオキシムを3との包接結晶中で固相でベックマン転位を行わせると、光学活性なラクタムが生成した。この結果、ベックマン転移反応が協秦的に起こることが直接証明されたことになる。 光学分割の研究で最も興味深い成果は、固相での不斉選択的包接化である。例えば、βーヨノンオキシド(5)のラセミ体を光学活性な3と固相で混合したのちヘキサンで洗浄すると、3と5の光学活性体との包接体結晶が得られた。この錯体からは88%eeの光学活性な5が分離された。この固相不斉包接化現象を利用すると5の固相動を混合して不斉包接化を起こさせたのち、mークロロ過安息香酸の粉末を混合して固相酸化させると光学活性な5と光学活性な5の酸化物が生成した。不斉包接化で3に包接された一方の光学異性の5は酸化されずに残り、包接されなかった他方の光学異性の5は酸化されてエステルに変換されるので、固相で動的分割が進行することになる。同様のことは、オキシムやスルホキシドにも適用できることが判明した。 2.固相での不斉選択的反応 Wittig反応が個相でも円滑に進行することが判明したので、この反応を不斉選択的に行わせる方法の開拓を試みた。4ーメチル及び3,5-ジメチルシクロヘキサノンを光学活性ホスト3と包接させた錯体結晶を固相でWittig試剤と混合、反応させると光学活性なオレフィンが生成した。不斉選択性は50〜73%程度の高能率であった。 シクロオクタトリエノン(6)及びシクロオクタジエノン(7)の光反応を様々に制御する研究を行った。例えば、7を4に包接させた錯体結晶に光照射すると光学活性な7の光二量体が得られたが、7と3との錯体結晶への光照射は光学活性な7の分子内光環化反応生成物を与えた。これらの反応の選択性はX線結晶構造解析によって詳細に検討された。同様にしてアルド-ル反応も不斉選択的に行うことができた。オキソアミド類の不斉選択的光環化による光学活性βーラクタム生成反応も詳細に研究した。特に、X線結晶構造解析によってその機構を明らかにした。 その他、次のような新しい固相反応も見出した。ベンジル酸転移反応、芳香族アルデヒドやケトンのZuーZuU_2によるαーグリコ-ルへのカップリング反応、アセチレン化合の銅塩によるカップリング反応、アルコ-ルの脱水によるオレフィンの生成、アルコ-ルの置換によるエ-テルの生成などである。求核置換反応が溶液中よりも固相でより能率良く起こることは興味深い。固相反応で最も実り多い成果の1つは、フェノ-ル類の鉄塩によるカップリング反応である。例えば、βーナフト-ルを塩化鉄と固相で反応反応させると純枠な1高収率で得られた。溶液中の場合よりも操作が簡単で純度の高い製品が高収率で得られる。
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