• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ハワイのレインバンドの発生維持に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 63044108
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分共同研究
研究機関九州大学

研究代表者

高橋 劭  九州大学, 理学部, 教授 (20197742)

T Takahashi (1990)  九州大学, 理学部, 教授

研究分担者 安井 元昭  九州大学, 理学部, 助手 (80220143)
研究期間 (年度) 1988 – 1990
研究課題ステータス 完了 (1990年度)
配分額 *注記
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
キーワードレインバンド / スコ-ルライン / 降水 / 氷晶 / 雨滴
研究概要

ハワイのレインバンドは雲頂高度が3kmと低く、温かく氷晶は形成されないが降水強度が100mmh^<-1>以上の強い雨を降らせる。このレインバンドは早朝ハワイ島の風上海上にア-ク状に発達し、降雨の開始と同時に動きはじめ陸上に強いシャワ-をもたらす。レインバンドの通過に伴いスコ-ルラインと同様、風は急変するがスコ-ルラインと異なり気圧変化は殆どない。スコ-ルラインと異なる強力な雨を降らせる機構が考えられる。
研究は1985年、研究代表者も参加したハワイ島でのキングエア機による観測デ-タの解析から始めた。観測機は種々の高度でレインバンドに垂直及び平行に飛行し、その航路にそって6秒毎に温位、気温、水蒸気量、雲粒、キリ粒、雨滴の含水量、降水粒子の粒度分布、雲粒空間濃度が図示された。解析の結果強力なレインバンドでは下層に強い収束帯が形成されていること、下層の湿った空気が上層に傾斜しながら上昇(sloped updraft)すること、キリ粒のRecycleで下層での降水粒子が急速に成長すること、従って研究代表者が先に見い出したように雲頂ですでに雨滴が多く観測された。雲底が低く、貿易風帯は高湿なので雨滴の蒸発は少なく、従って“cold dome"の形成は弱い。しかし下層(数百米以下)で温度の不連続帯が観測され、レインバンドはこの帯にそって発達していた。この温度不連続帯は海陸風による場合と、海流に起因するものとの2つが考えられた。更にレ-ダ観測との比較で、強く長続きする雨を降らせるレインバンドは垂直方向の風が飽物線型の時形成されることが分かった。3次元数値モデルとの比較の結果、風のジェットが雨で下層に輸送され、強い下層収束帯が形成されるためと結論された。この時雨の集積が風のジェットの高度で行われることがレインバンドの強弱を支配し、降雨機構が強力なレインバンド形成に密接に関連していることが分った。更にハワイのレインバンドの特徴を明らかにするために1990年ハワイ島で再び大規模な研究が行われた。エレクトラ機の他、ドップラ-レ-ダ2台、地上ネットワ-ク50台が持ち込まれ、観測は2ケ月に渡り膨大なデ-タが得られた。解析はこれからである。
ハワイから更に南下すると逆転層高度が高くなり、又弱くなる。雲はこの逆転層を突き抜き圏界面まで達する。雲はバンド雲に発達、強力な雨を降らせる。圏界面温度は-80℃と低く、雲内には氷晶の成長が考えられる。ミクロネシア・ポナペ島で新しく開発したラジオゾンデを飛揚した。これは内にテレビカメラがあり、降水粒子が入るとフラッシュがたかれ、映像が地上に伝送される。驚いたことに霰や雹が観測され、氷晶の数も0.1/ccと多く南洋の雲は氷晶を多量成長させていることが分かった。この雲は雲底から0℃層までの雲の厚さが4kmと厚いので氷晶がなくとも雨滴成長は行われる。降水への氷晶の役割を3次元数値モデルで研究を行った。南洋の雲で氷晶が成長しないと雨はシャワ-性となり短時間で止む、一方水滴が凍って雹が成長すると、雨は雲のライフの後半から降りはじめるが雨は長続きする。もし氷晶が成長すると飽和水蒸気圧が水より氷で低いこと及び雪は2次元的に成長することから氷晶成長が雨滴成長より著しく早く、過冷却雲粒を捕捉して霰を作る。このため雨は早くはじまり、強く、長続きする。霰成長を通しての過程の方がWarm Rain型より大きい雨滴が作れる。氷晶はWarm Rain型の雨滴形成より高い高度で成長する。従って、風があると降水粒子の落下位置が異なり風が飽物線型の時Warm Rain型の場合、下層収束帯を弱めるように降るが、氷晶成長を通しての霰は逆に下層収束帯を強めるように降る。このため雲は強力に成長、強い降雨が長時間続く。このように南洋の雲でも氷晶があれば降水能率が著しく増加することが分かった。氷晶の西太平洋南洋でのスコ-ルラインへの寄与に関する研究は今後の大きな研究課題である。

報告書

(1件)
  • 1990 研究成果報告書概要
  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] 高橋 劭: "Longーlasting trade wind rainbandsーthree dimensional model." Journal of the Atmospheric Sciences. 45. 3333-3353 (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋 劭、米山 邦夫、坪田 幸政: "Longーlasting trade wind rainbandsーaircraft observation." Journal of the Atmospheric Sciences. 46. 937-955 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋 劭: "Near absence of lightning in torrential rainfall producing micronesian thunderstorms." Gepohysical Research Letter. 2381-2384 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋 劭、米山 邦夫、三浦 和彦: "Rain characteristics of Hawaiian rainband."

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] 高橋 劭、遊馬 芳雄: "Precipitation mechanisms in three dimensional shallow cloud model"

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takahashi, T.: "Long-lasting trade wind rainbands-three dimensional model." Journal of the Atmospheric Sciences. 45. 3333-3353 (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takahashi, T., K. Yoneyama and Y. Tsubota: "Long-lasting trade wind rainbands-aircraft observation." Journal of the Atmospheric Sciences. 46. 937-955 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takahashi, T.: "Near absence of lightning in torrential rainfall producing Micronesian thunderstorms." Geophysical Research Letter. 2381-2384 (1990)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takahashi, T. , K. Yoneyama and K. Miura: "Rain characteristics of Hawaiian rainband." Prepared for the submission.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] Takahashi, T. and Y. Asuma: "Precipitation mechanisms in three dimensional shallow cloud model" prepared for the submission.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      1990 研究成果報告書概要

URL: 

公開日: 1988-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi