研究課題/領域番号 |
63044115
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 九州国際大学 (1989) 宮崎大学 (1988) |
研究代表者 |
市川 信愛 九州国際大学, 国際商学部, 教授 (90039800)
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研究分担者 |
朱 徳蘭 台湾中央研究院三民主義研究所, 助研究員
劉 序楓 西南学院大学, 講師
張 炎憲 台湾中央研究院三民主義研究所, 研究員
曹 永和 台湾中央研究院三民主義研究所, 台湾大学・教授, 研究員
黒木 國泰 宮崎女子短期大学, 助教授 (90132513)
CHANG Yen-Hsien Associate Research Fellow, the Institute of Three Principles of the People, ACAD
LIOU Shiun-Feng Lecturer, Commercial Faculty, SEINAN UNIVERSITY
YS'AO Yung-Ho Professor, taiwan University ; Research Fellow, the Institute of three Principle
CHU Te-Lan Assistant Research Fellow, the Institute of Three Principles of the People, ACAD
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
1989年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1988年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 華僑 / 華人 / 華裔 / 〓南人 / 華南人 / 台湾人 / 貿易商 / 買辨(弁) |
研究概要 |
1.研究の目的と意義 本研究のねらいは、日本植民地時代に射程をおいて、日本(長崎)、台湾(各港)間交易の実態を在日〓南系華僑貿易商「泰益號」(長崎)の尨大な記録文書(1900〜1940年)を中心素材として総合的に解明することにある。研究手法は、日台共同研究システムの下に文書の解読と追跡調査という、デスクワ-クとフィ-ドサ-ベイとを補完・併行して行った。また学術的意義としては、従来東支那海交易圏が、19世紀アヘン戦争を契機として中国朝貢貿易から西欧資本主義列強の覇権下に入り、20世紀に入ってアジア新興国日本の支配下に、日清・日露の両戦役をへて組込まれていくとする見解がとられてきた。これに対し、本研究では両世紀を通じ、交易の実質的(陰の)担い手ないし推進者は、一貫して華商、とりわけ同一方言圏を構成する〓南系商人であったという論理を、アンティ・テ-ゼとして立証することにある。 2.研究の経過 本研究に先行する基礎的研究調査として、1984〜85年文部省科学研究費補助「長崎華商『泰益號』文書の調査研究ー明治・大正・昭和3代に渡る福建幇の系譜的究明を主座としてー」(一般研究B、59450069)に続いて、1986〜87年度補助「近代日本華僑社会の系譜と展開に関する実証的研究ー長崎華商『泰益號』関係資料並びに唐寺の墓碑群を主素材としてー」(一般研究B、61540082)がある。本研究は、いわば質・量ともに尨大な『泰益號』文書(3万余点)の一貫した追跡の延長線上に位置づけられ、研究システムと手法が、国内から国際へ、史学ないし文献学から学際的実証研究へと拡大、深化したものである。即ち、本研究課題への取組みに当っては、まず基本帳簿と書簡類のコピ-(マイクロフィルムを含む)を台湾側共同研究者へ送付、個別にデスクワ-クに着手すると同時に、若干の現地調査を試行的に行った。とりわけ共同研究者間の問題意識の調整とアプロ-チの方法、段取り等について、一堂に会して合同研究会をもつ必要が認識された結果、1988年12月長崎市において「近代日本華僑・華人学術研究会」という名称で国際シンポジウムを開催、約50名の内外の学者、研究者が集まり、2日間のセッションのあと、長崎・平戸の史跡と文物を視察、成功裡に終了することができた。なお、同研究会開催に当っては、台湾側から亜東関係協会を通じて若干の助成がなされたほか、文部省からも1989年に入って、補助金の補正=増額が認められたことも特記しておく必要があろう。その成果は、とりあえず「在日〓南系華商の台湾交易に関する総合的研究・上」として刊行することができた。(次項参照) 3.成果の概要 上述した経過からえた成果の第1は、課題への共同のアプロ-チとして、横断的・立体的フィ-ドバックを日台間で定期的にもつことが確認されたことである。特に、台湾側では、独自の海洋発展史プロジェクトに包摂組織的な取り組みが進展し、日本側では、九州・神戸間での華僑研究会相互の交流の下で〓南商圏が長崎(台湾)と神戸(菲島)で異る点が、明らかとなった。次に基本資料を広く利用に供するため、帳簿類のマイクロフィルム化に続き、書簡類(約3万点)のコピ-によるファイリングを完了した。と併行し、書簡の解読の定例研究会が中国の研究者を含め定着した。一方田野調査は、人脈の堀り起しにかなりのエネルギ-を要しながら、国内では長崎・関門・関西において、台湾では基隆・淡水・台中・台南の諸港で進渉、多くの古老や老舗の発堀と資料の収集をみた。更に関連調査として南洋調査を行い、香港・マニラ・シンガポ-ルで、〓南商人活動の事跡を確認した。 4.今後の課題 総じて、本研究は順調に推移しているが、同文書の質・量面の多面性、国際性にかんがみ、さらなる研究の拡大と深化をめざして、台湾両岸交易への総合的研究を日・台・中(含香港)のトライアングル・システムでの推進計画を立てたが、幸い平成2年度以降の助成対象となった旨の内示を受けた。
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