研究課題/領域番号 |
63044119
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
門田 哲夫 (1990) 横浜市立大学, 医学部, 助手 (70117745)
岸田 令次 横浜市立大学, 医学部, 助教授
|
研究分担者 |
LEW Daniel Museo de Historial Natural la Salle, 研究員
VANEGAS Hora Instituto Venezolano de Investigationes, 教授
GORIS Richar 横浜市立大学, 医学部, 非常勤講師
岸田 令次 山口大学, 医学部, 教授 (50046132)
HORACIO Vanegas Instituto Venezolano de Investigationes Cientificas, Professor
DANIEL Lew Museo de Historia Natural la Salle・Investigador
RICHARD Goris Yokohama City University・Instructor
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
1990年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 吸血コウモリ / Desmodus rotundas / 三叉神経系 / 赤外線知覚系 / HRP標織法 / サブスタンスP / 免疫組織化学 |
研究概要 |
赤外線情報を利用しているヘビの場合は、ピットと呼ばれる一対又は複数対の赤外線受容器官が存在し、これからの情報は三叉神経節内では局在は示さないが、延髄に入った段階になると、赤外線感覚(温覚)に関与する温線維(Aδ線維)のみが他の触角や痛覚等の線維から独立して三叉神経外側下行路(dlv)を形成し、その知覚核:三叉神経外側下行路核(DLV)に終末する事が知られている。また、この核には迷走神経からの入力線維が関与していることがKishida et al.1983,1984により明らかになっている。 吸血コウモリにおいても行動学的研究から赤外線情報を利用していることが証明されており、ピットと呼ばれる部位も存在する。ここを支配する三叉神経から電気生理学的に特異的な熱受容線維が記録されている。 1984年にkishida et al.により、吸血コウモリとその他のコウモリの三叉神経感覚核との比較からヘビのように赤外線感覚受容に関与していると推測される吸血コウモリの“外側下行路核(DLV)"の存在を、通常の染色標本から細胞構築学的に推測している。 吸血コウモリ(Desmodus rotundus)の赤外線受容器:ピットを神経支配する三叉神経第一枝眼神経(V_1)、第二枝上顎神経(V_2)およびピットを支配しない三叉神経第三枝下顎神経(V_3)の主要な枝の基部からHRPを取込ませ、それぞれの枝に含まれる知覚一次ニュ-ロンの中枢性投射線維を越神経節性に標識して明らかにした。吸血コウモリの場合はピットを支配している枝のみならず、ピットを支配していない枝の三叉神経の知覚線維のいずれの投射領域内にもヘビのdlvやDLVに相当する線維束や細胞集団は認められなかった。つまり、吸血コウモリの赤外線感覚受容に関与していると推測される(“DLV")は三叉神経の一次知覚線維と直接の関係はないことが明らかになり、吸血コウモリの赤外線感覚情報処理のための構造はヘビの場合と基本的な違いを持っているという結論を持つに至った。 それゆえ、現在までに得られた吸血コウモリの脳・神経に関するデ-タ-からは赤外線感覚に関与する線維あるいは細胞集団を形態学的に識別し得ず、三叉神経脊髄路及びその核内に、他の触覚や痛覚等に関与している線維・細胞と一緒に混在しているとしか言えない。さらに、我々は1984年の論文で“DLV"と迷走神経との関係が密接であろうと推測したが、今回、迷走神経本幹(頚動脈分岐部の高さ)からもHRPを取込ませ、迷走神経一次投射線維とDLVとは直接の関係がないことを明らかにした。 3年目(最終年度)においても、ベネズエラ共和国から生きた吸血コウモリを日本に持出すための許可を得ることができなかったので、当然日本で生きた吸血コウモリを使用して実験に供す事はできないので、今回、最終年度は招へい者に潅流固定してもらった脳を日本に持込んでもらい、それで研究を行なうことしかできないので、当初の研究計画どうりに、免疫組織化学的に検索を行ない、ベネズエラの研究者に神経科学解析方法の一つである免疫組織化学的アプロ-チの技術を伝授する事となった。三叉神経系において、いくつかの神経ペプタイドが分布していることが知られているが、今回、三叉神経系だけでなく、脊髄後角系にも広く分布しているサブスタンスPの分布を検索し、技術を修得してもらった。脳幹部及び脊髄に免疫染色をほどこした。脳幹の三叉神経感覚核、脊髄の三叉神経脊髄路核を中心に観察した。ラット、マウス等の研究と比較して、特に異なった結果、赤外線情報処理を行なっていることを推測させるような特別な部位は認められなかった。吸血コウモリにおけるサブスタンスPの分布は、基本的にはラット、マウスと差はなかった。
|