研究課題/領域番号 |
63044130
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
塩原 哲夫 杏林大学, 医学部皮膚科, 助教授 (10118953)
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研究分担者 |
THOMAS Kuppe エール大学, 医学部皮膚科, 研究員
RICHARD Edel エール大学, 医学部皮膚科, 主任教授
EDELSON Richard Department of Dermatology, Yale University School of Medicine
KUPPER Thomas Department of Dermatology, Yale University School of Medicine
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1988年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 表皮向性T細胞クロ-ン / 表皮由来サイトカイン / 細胞接着分子(cell adhesion molecule) / GM-CSF / IL-6 / 体外光化学療法 / 免疫寛容 / anti-idiotypic suppression / GvH reaction / Thy1^+epidermal cell / LFA-1 / ICAM-1 / 固定薬疹 |
研究概要 |
本研究は、大きく2つのprojectに分けられ特に後者に比重をおいて研究をすすめた。 (1)同系マウスへの局所移入により表皮に浸潤し、皮膚疾患類似の表皮破壊を惹起しうるT細胞クロ-ン(表皮向性T細胞クロ-ン)を用いてT細胞の表皮親和性のメカニズムを検討した。表皮向性T細胞クロ-ンは全て、表皮(Keratinocyte)由来サイトカインであるGM-CSF,IL-6に対し増殖活性を示し、GM-CSFレセプタ-を発現していた。しかし両者のサイトカイに対する増殖活性,GM-CSFレセプタ-の発現は、非表皮向性T細胞クロ-ンの一部にもみられたことから、表皮由来サイトカインに対する反応性のみが表皮向性を決定する因子ではないことが明らかとなった。 もう一つの重要な因子である細胞接着分子の発現を検討したところ、LFA-1の発現が表皮向性と相関していた。しかし全ての表皮向性T細胞クロ-ンはLFA-1を強く発現しているものの、一部の非表皮向性クロ-ンも強く発現しているものがあり、LFA-1の発現の強さのみでは表皮向性は説明出来なかった。我々が調べ得た限りのT細胞クロ-ンでは、表皮向性遊走のためには、GM-CSFレセプタ-を発現し、LFA-1をcell cycleに無関係に強く発現していることが必要であり、このどちらかを欠如しているクロ-ンは、表皮向性遊走を示さないことがわかった。 (2)エ-デルソンの提唱する体外光化学療法の作用機序を明らかにするため、表皮向性クロ-ンをin vitroでphotoinactivateしたのち、同系マウスに移入することにより、そのマウスにクロ-ン特異的免疫寛容が誘導されるかどうかの検討を行った。確かにphotoinactivateした表皮向性クロ-ンの前投与は、以後同一クロ-ンによる表皮同性浸潤とそれに続く表皮構築の破壊に対する抵抗性(免疫寛容)を誘導し、それはクロ-ン特異的(anti-idiotypic)であった。しかし同様の抵抗性の獲得は、クロ-ンをphotoinactivateすることなく投与した場合にも誘導された。すなわち、表皮向性クロ-ンの投与は表皮構築を破壊するが、それは数週間で正常に戻り、以後同一クロ-ンを投与しても再び表皮構築の破壊はみられなくなる。このような抵抗性の獲得は、photoinactivateした場合と異りクロ-ン特異的でなく、表皮構築を破壊しうるクロ-ンならば、表皮抵抗性を誘導出来ることがわかった。抵抗性発現は局所の表皮にのみ限局しており、表皮向性クロ-ンを前投与したマウスの接触過敏反応やGvH reactionをおこす能力は、全く影響をうけなかった、この表皮抵抗性の発現には表皮構築の破壊と同時に表皮内に増殖するThy1^+epidermal cell(Thy1^+EC)が関与していることが明らかになった。この表皮抵抗性発現は胸腺のないnudeマウスや胸腺別出マウスではみられないことから、胸腺由来のThy1^+ECの増殖が表皮抵抗性発現に必須であることが明らかとなった。 その他、臨床研究として固定薬疹病変部keratinocyteがLFA-1の1yandであるICAM-1発現をdown-modulate出来ないため同一部位に皮疹をくり返す可能性も明らかにした。
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