研究課題/領域番号 |
63044138
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
道家 忠義 早稲田大学, 理工学研究所, 教授 (60063369)
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研究分担者 |
鈴木 聡 CERN, 準研究員
春山 富義 高エネルギー物理学研究所, 助手 (90181031)
増田 公明 埼玉衛生短期大学, 講師 (40173744)
柴村 英道 埼玉衛生短期大学, 助教授 (30100605)
村木 綏 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (70013430)
宮島 光弘 高エネルギー物理学研究所, 助教授 (50044756)
吉村 嘉男 高エネルギー物理学研究所, 教授 (50013397)
平林 洋美 高エネルギー物理学研究所, 教授 (90013383)
菊池 順 早稲田大学, 理工学研究所, 教授 (50063665)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1990年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1989年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1988年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 液体アルゴン / TPC / 太陽ニュ-トリノ / 核子崩壊実験 / 逆β崩壊過程 / グランサッソウ地下実験所 / 電子の減衰長 / 液体アルゴンからの発光 |
研究概要 |
1985年、CERNのRubbia教授を中心としてグラン・サッソ-地下実験所に宇宙から飛来するニュ-トリノ検出のための大型液体アルゴン・タイム・プロジェクション・チェンバ-を建設する計画が作られた。これは、ICARUS計画と呼ばれ、初め3.3キロトンのもの建設が予定されていた。しかし、1988年の中頃次のような3段階を経て大型(3.3キロトン)の液体アルゴンTPCを実現することになった。 第一段階 2〜3トン級の小型液体アルゴンTPCを2台建設しグランサソ-地下実験所でニュ-トリノ観測の為のバックグラウンド測定を行なう。 第二段階 300トン級の液体アルゴンTPCを建設し太陽ニュ-トリノの観測を始める。 第三段階 当初の目的である3.3キロトン級の液体アルゴンTPCを建設し、核子崩壊、宇宙ニュ-トリノの観測を始める。 しかし、その後の経過を見ると、実際に建設されつつあるのは現状では2〜3トン級液体アルゴン1台のみであるが、ようやくその建設も終わり現在CERNでそのテストがなされつつある。また、全体の構想も変り、第二段階の太陽ニュ-トリノ観測としても300トンは小さすぎ1キロトンの液体アルゴンTPCを建設すべきであるとの声もある。更に、第三段階として考えられている3.3キロトン級液体アルゴンTPCの建設は核子崩壊実験用としては小さすぎるとして現状ではほとんど無視されているように見える。以上のような情勢の変化にたいして、2〜3トンのモデル実験からは、1)液体アルゴンの純度については極めて簡単な方式で電子に対する減衰長が1meter又はそれ以上のものが得られており大いに自信を強めている。2)信号の読みだし方式についてはCERNの得意とするところで問題はないがグリッド線の断線には悩まされているようである。3)トリガ-信号として何を使用すべきかかは位置精度の向上のために極めて重要であるが、我々日本側としては液体アルゴン中での発光の利用を考えており、その基礎研究を開始した処である。4)日欧両グル-プで独自の純度モニタ-を開発し、それぞれの特長を利用して使用している。 このように、時間は掛かったもののテスト実験の分野では、液体アルゴンTPCの技術的裏付けが蓄積されつつある。そのため、CERNに於いてなされつつある最終テスト実験に成功した後、ICARUSグル-プとしてどのような方向を取るべきかについてはa)この小型液体アルゴンTPCを直接素粒子実験に使用することが提案されたり、b)太陽ニュ-トリノ観測用の1キロトン液体アルゴンTPCの建設が考えられたりしておりしており、いまの処まだはっきりしていないが、その方向は遅くともここ数カ月中に決定されよう。 このような現状にあって、我々は、液体アルゴン中ではニュ-トリノによる反跳電子の検出(ν_eとν共に可能)と共に、次のようなKの逆β崩壊が起き、 Ar+ν_e=K+e ν_eのみを選択的に検出することが可能である。このことは、液体アルゴンTPCの顕著な特長で、この検出器のみでニュ-トリノ振動に対する結論を得ることが可能である。このような観点ら、我々は、太陽ニュ-トリノ観測用の1キロトンの液体アルゴンTPCが建設されることを第一に望んでいおり、次でその際のニュ-トリノに対するトリガ-信号として我々が提案している液体アルゴンからの発光が使用されることを希望しており、かつ、その方面を分担したいと考えている。
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