研究課題/領域番号 |
63044139
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
石田 浩 関西大学, 経済学部, 教授 (70148493)
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研究分担者 |
凌 耀初 上海社会科学院, 部門経済研究所・農村経済研究室, 副主任
莫 建備 上海社会科学院, 部門経済研究所・農村経済研究室, 副主任
謝 自奮 上海社会科学院, 部門経済研究所, 副所長
深尾 葉子 大阪外国語大学, 中国語学科, 助手 (20193815)
川井 悟 福山大学, 経済学部, 助教授 (80177633)
XIE Zi-fen Vice-head of the Institite of Sectorial Economics, The Shanghai Academy of Socia
MO Jian-bei Vice-head of Study of Rural Economics, The Institite of Sectorial Economics, The
LING Yao-chu Vice-head of Study of Rural Economics, The Institite of Sectorial Economics, The
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 農村社会 / 農村経済 / 伝統農村 / 農民 / 社会主義改造 / 農業集団化 / 都市化 / 工業化 |
研究概要 |
平成元年5月30日から6月8日までの日程で、共同研究者である上海社会科学院部門経済研究所の謝自奮・莫建備・凌耀初の3氏を招き、平成元年度の予備調査についての検討と討論を行い、平成元年度の本調査に対する方法や調査項目等の検討を行った。昭和63年8月の予備調査に続き、平成元年8月3日から9月6日までの日程で石田浩・川井悟の2名は上海市郊外の奉賢県青村郷唐家村の実態調査に従事した。8月3日〜6日までは調査の打ち合わせを行い、7日より30日まで調査を実施した。調査方法は唐家村を構成する14の自然村のうち5自然村を選び、作成した2部の農家調査表(1部は解放前から現在までの農家の歴史的変遷についての調査表、他の1部は農家の意識調査)に基づき各自然村の全戸調査を実施した。上海市公安局の戸口簿に基づき、各戸から1名を呼び出し、地元の小学校の教室を利用して聞取り調査を行った。農民には北京語が通じないので、聞取り調査に当たっては上海社会科学院の3名の研究者と研究生、復旦大学経済系の講師1名の協力を得た。調査表の質問項目は膨大な量であるため1戸の農家からの聞取りに約半日を要した。中国側の研究者は村内に宿泊し、日中外出して不在の農家を夜に訪問して聞取り調査を実施した。それでも1日の調査戸数は多い時で約15戸程度で少なければ数戸であった。調査においては解放前から現在まで個々の農家がどのように変遷してきたのかを把握するために土地改革時の档案資料と戸口簿を利用した。また、かつての生産隊長や村幹部に集まってもらい予備調査での疑問点を明らかにした。9月1日に上海に戻り、2日から4日まで総括討論を行い、農家調査表は中国側の共同研究者が一部を所有し、日本側も一部を持ち帰った。調査戸数は230戸に達し、戸籍上では独立した戸数に数えられているが、息子家族等と同居している老人を戸数に数えなければ220戸あった。以上が上海での共同研究の経過である。 本研究の成果としては以下の点をあげることが出来る。 (1)すでに予備調査の村落については日本側と中国側が論文や資料集を整理・発表しており、中国農村の解放前から解放後までの歴史的変遷を把握した。 (2)本調査では奉賢県青村郷唐家村の社会経済的変化を個別農家レベルまでおりて具体的実証的研究が実現した。これまでの調査研究は村幹部や数人の農民からの聞取りであったことと比較すれば、研究の深化はかなりのものとなった。奉賢県档案館から入手した土地改革の資料や上海市公安局から入手した唐家村の戸口簿、5自然村全戸の農家調査表により解放前から現在までの農家の家族構成の変化、労働力の変化、労働力構成、農家経済の変化、土地経営方法、収入、就業、役職、教育水準、結婚、農民間の社会関係等、膨大な調査資料を獲得した。これにより、上海市郊外の一村落であるが、解放後の土地改革や社会主義改造、各種の政治運動が一体どのようなものであったのか、あるいはそれが村にどのように波及し影響を与えたのか、伝統村落は根底的に変革されたのか、の解明を可能にした。資料があまりにも膨大であり、現在その整理中であり、疑問点や不明点を中国側と連絡をとり確認している。 (3)(2)に述べた研究の深化を可能にしたのは、何よりも中国側の研究者との共同研究という形態を採用したからであり、我々の知る限り日本の研究者で、このような共同研究を実施し成果を上げたということを寡聞にして聞かない。アメリカの研究者が南京大学と江蘇省松江県において共同研究を実施し、非常に詳細な調査を実施した。しかし、成果の発表について中国側からクレ-ムがつき、未だに発表出来ないでいる。この点につき我々は中国側に強く要望し、調査資料は中国側と日本側とで一部ずつ所有し、それに基づいて自由に論文の作成できるということにした。 (4)今回の共同研究は、これまでの研究費用を日本側が負担し、中国側が調査の下請けを行うといった共同研究ではなく、多くの時間を費やして研究課題を相互に深化させ、作業においても平等なパ-トナ-シップに基づいて共同研究を進めることを心掛けた。その結果、中国側に我々日本側研究者の信頼を増幅し、今後とも共同研究を続行していくことを確認した。そして、共同研究の成果として日中両国研究者による学術研究書の発行に向けて現在編輯作業中である。
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