研究課題/領域番号 |
63044149
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
相崎 守弘 (1990) 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 総合研究官 (20109911)
柏崎 守弘 (1989) 国立公害研究所, 水質土壌環境部, 部長
村岡 浩爾 (1988) 国立公害研, 水質土壌環境部, 部長
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研究分担者 |
劉 玉生 中国環境科学研究院, 水環境科学研究所, 教授
金 相〓 中国環境科学研究院, 水環境科学研究所, 副所長
張 永良 中国環境科学研究院, 水環境科学研究所, 所長
劉 鴻亮 中国環境科学研究院, 院長
福島 武彦 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (90124354)
橘 治国 北海道大学, 工学部, 助手 (90002021)
村岡 浩爾 大阪大学, 工学部, 教授 (90029017)
LIU Yusheng Chinese Research Academy of Environmental Sciences
JIN Xiangcan Chinese Research Academy of Environmental Sciences
ZHANG Yong Liang Chinese Research Academy of Environmental Sciences
LIU Hongliang Chinese Research Academy of Environmental Sciences
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 中国湖沼 / 雲南省湖沼 / 〓池 / 富栄養化 / 富栄養化状態指標 / 有機物汚濁 / 土壌浸食 |
研究概要 |
今回の日中共同研究は、湖沼の水質変化を規定している因子に日本と中国で違いがあるのかどうか、日本の調和型の湖沼の比較研究から得られた湖の富栄養化状態を表す指標である修正カ-ルソン指標が、中国の湖沼にも適用可能かどうか等について調査するため始められたものである。 昭和63年度は雲南省の湖沼を対象に調査を行い、平成元年度は揚子江下流域の湖沼の調査を行う予定であった。しかしながら、天安門事件の影響で、平成元年度は、昭和63年度と同じ雲南省の〓池の詳細な調査を行うことに計画を変更した。平成2年度は日本におていシンポジュウムを開催し、日本と中国の湖沼水質特性の違いを検討すると共に、中国杭州市において開催された国際湖沼会議において、共同研究の成果を発表した。 中国は世界の中でも湖沼の多い国の一つで、1km^2以上の表面積を持つ湖沼は2,300湖沼ある。中国の湖沼はその位置する地域によって、大きく5つのグル-プに分けて特徴づけられている。すなわち、東部平原の揚子江下流域の湖沼群、内蒙古・新彊地域の湖沼群、東北地域の湖沼群、雲貴高原の湖沼群および青蔵高原の湖沼群である。今回調査を行ったのはこれらの5つの特徴的地域の内、雲貴高原に属する湖沼を主として行った。この地域にある湖沼は、1,280mから3,270mという高い標高に位置し、断層湖が多く古い歴史を持つ湖が多い。流域の平均気温や降水量は日本と同程度である。 調査を行ったのは、雲南省にある〓海、杞麓湖及び〓池である。〓海はヒマラヤ山脈のはづれに位置する雲南省第2の表面積を持つ湖で、中栄養湖に属している。水質は比較的良好であるが、湖全面に水生高等植物が繁茂し、その量は年々増加している。そのため、湖全体の生産量はかなり高く、さらに富栄養化が進行すれば、植物プランクトンの大発生が予測される状況である。杞麓湖はすでに富栄養化が進行しており、調査時にはアオコの発生も観測された。流域は主として農地として利用されており、面源負荷による富栄養化と判断された。水質特性としては懸濁態の有機物濃度が高く、また窒素濃度がリン濃度に比べて高いといった特徴を持っていた。 〓池は雲南省の省都である昆明市の排水が流入するため、富栄養化が著しく進行していた。流入河川の水質は、排水処理がまったく行われていないため極めて悪く、溶存酸素のまったく無い河川が何本かあった。また、一部の河川では土壌浸食による多量の土砂を含んでおり、きわめて高い懸濁物濃度が観測された。〓池は昆明市に近い草海と呼ばれる内湖と外海と呼ばれる主湖盆に別れており、草海は極度に汚染が進行しているが、外海は日本の霞ケ浦に類似した水質であった。このことから、草海の自然浄化力は極めてたかく、一種のラグ-ンとしての機能を果たしていることが明らかになった。今回の調査結果では、草海の流入部と流出部で栄養塩濃度に約5倍の違いが観測されており、流入した栄養塩の約80%が草海で除去されていることが明かとなった。また、外海の草海に近い部分で栄養塩の減少が観測された。この部分には、大きな河川が流入しており、土壤浸食によってもたらされた多量の土砂が、栄養塩の除去に大きく寄与している可能性が示唆された。〓池の主湖盆での水質変化は少なく、主湖盆での水の混合はかなり良いものと推測された。雨季と乾期を比較すると乾期における水質が雨季に比べて悪化していた。流入河川では雨季と乾期の違いが特に著しかった。 雲南省の湖沼を調査した結果、その水質特性は日本の調和型湖沼とよく似た状況であることが分かった。しかしながら、有機汚濁が著しく、また土壌浸食による土砂の流入は日本とは異なった湖沼の水質変化を引き起こす可能性が高いことが判明した。
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