研究課題/領域番号 |
63044151
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
宮村 達男 国立予防衛生研究所, 腸内ウィルス部, 室長 (90100099)
宮村 逹男 (1990) 国立予防衛生研究所
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研究分担者 |
原田 志津子 国立予防衛生研究所, 衛生昆虫部, 研究員 (10218646)
竹内 健司 国立予防衛生研究所, 腸内ウィルス部, 協力研究員
田中 幸江 国立予防衛生研究所, 腸内ウィルス部, 研究員
湯浅 田鶴子 国立予防衛生研究所, 腸内ウィルス部, 主任研究官 (80100105)
斎藤 泉 国立予防衛生研究所, 腸内ウィルス部, 主任研究官 (70158913)
KUO George Chiron
HOUGHTON Mike Chiron
RUTTER William J. UCSF
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1990年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 非A非B型肝炎 / C型肝炎ウイルス / 輸血後肝炎 / cDNAクロ-ニング / 遺伝子発現 / コア蛋白 |
研究概要 |
非A非B型肝炎の起因因子はそれまでの種々の状況証拠からウイルスであることが想定されていたが、通常のウイルス分離方法や、抗原抗体検出系に基づく方法でその因子を同定することができなかった。共同研究が開始された1982年から、感染したチンパンジ-の肝組織または、血漿からRNAを抽出し、そのcDNAをライブラリ-化して、非A非B型肝炎ウイルス遺伝子の断片を得ることを試みた。1988年に、カイロンのグル-プが、λ gtllを用いたイムノスクリ-ニングによりその発現産物が非A非B型肝炎患者の血清と特異的に反応するcDNA断片を得ることに成功した(Choo et al.Science 244,359ー362;文献1)。日本で全く独立にそれまでに収集、解析されていた輸血後非A非B肝炎の患者の血清中に病型に対応してこの抗体の産生が認められた。更にこの患者に実際に輸血された血液の供血者にもこの抗体が検出された(文献2及び4)。この抗体は日本の非B型の肝がん患者の実に60〜70%にも検出される(文献3)。カイロングル-プはgene walkingによりこのcDNAが長さ約9.5キロベ-スの一本鎖RNAをそのゲノムとしてもつ全く新しいRNAウイルスであることをつきとめ、これをC型肝炎ウイルス(HCV)と名付けた(Choo et al.1989,Science 244,359ー362;Choo et al.1991,Proc.Natl.Acad.Sci.in press)。一方予研側は、このカイロンとの共同研究から塩基配列の情報を得て、日本人の供血者からHCVのcDNA断片を直接PCR法によって増幅、クロ-ン化した(文献6、7、9、12)。つまり日本とアメリカとで、各々ヒトと実験的に感染させたチンパンジ-の血液からHCVcDNAを得ることができた。この2つのHCVのcDNAの塩基配列とアミノ酸の配列を比較、更に類似していることが以前から提唱されているフラビウイルスのそれと比較した。フラビウイルスとの類似性もさることながら、ウシ下痢症ウイルスなどペスティウイルスとの一部の相同性もみつかり、これら3種のウイルスが互いに類似しながら全く別のウイルスであることが明らかとなった。 この間、カイロングル-プは、HCVの非構造遺伝子NS4の領域を酵母で発現させ、その発現産物を利用した特異抗体検出ELISAを作出した。この検査法の有用性を世界で最初に示したのがこの協同研究による日本での患者及び、供血者での血液検査であった。その結果1989年の11月、日本が世界に先駆けて、このHCV抗体アッセイを輸血のスクリ-ニングに用いることとなった。 このHCV抗体アッセイ系はその後世界中で輸血用血液のスクリ-ニングに用いられるようになっているが、C型肝炎の診断には必ずしも適さない点があった。我々の初期の検討により抗体が陽転するまでに数カ月を要することが示されていたからである。 日本でのクロ-ン化されたHCVの遺伝子構造を詳細に調べた。まず、ウイルスの構造蛋白をコ-ドする構造遺伝子をサルCOS細胞でSRαプロモ-タ-の統御下で組換え、更にバキュロウイルスを用いて昆虫細胞でヌクレオキャプシド(コア)蛋白を発現させることに成功した(文献14、15、16)。これらの蛋白に対する抗体が患者血清中に特異的に検出されることにより同定することができた。これにより遺伝子の機能を同定されたのみならず、この蛋白を用いたELISAが、C型肝炎の早期診断やより感度の高い輸血血液のスクリ-ニングにも応用可能であることが示された。現在世界各国の協同研究者とその有用性を検討している。 このコア蛋白にひきつづきエンベロ-プ蛋白の発現実験にも成功した(論文準備中、Matsuura et al)。分子量約35キロダルトンの糖蛋白である。この蛋白及びその下流にあるNS1の領域の発現産物を用いて今後、ワクチンやγーグロブリン製剤の実用化を検討してゆきたい。
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