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超高中性子束炉に関する調査及び設計研究

研究課題

研究課題/領域番号 63044164
研究種目

海外学術研究

配分区分補助金
研究機関近畿大学

研究代表者

柴田 俊一  近畿大学, 原子力研究所, 教授 (90027392)

研究分担者 内藤 奎爾  名古屋大学, 工学部, 教授 (70022994)
高橋 洋一  東京大学, 工学部, 教授 (90010735)
木村 逸郎  京都大学, 工学部, 教授 (40027404)
中沢 正治  東京大学, 工学部, 教授 (00010976)
椙山 一典  東北大学, 工学部, 教授 (10004277)
研究期間 (年度) 1988
研究課題ステータス 完了 (1988年度)
キーワード研究用原子炉 / 強力中性子源 / 高中性子束炉 / 原子炉設計 / 熱水力学的炉設計 / 中性子実験
研究概要

超高中性子束炉の設計研究を日本側大学関係研究者と、米国オークリッジ国立研究所(米国側幹事研究機関)との間で共同研究として実施している。
前例のない高い中性子束10^<16>n/cm^2.secを実現するためには、前例のない高い出力密度を実現する必要があるが、これには大きな技術的困難がある。これらを解決しつつ高い性能を確保することが、この設計研究の目標である。本年度、日本側が寄与した部分を主体として、その成果の概要を述べる。
1988年3月、種々の検討を経て、基本炉心は上下2分割円筒型炉心に決定した。これをReference Coreとして、種々の特性を詳細に調べることとなった。
第一には、冷却特性についてであるが、出力密度が12MW/lにも達し、燃料板表面(板状、インボリュート型燃料を用いる)における平均熱流束は9MW/m^2、ホットスポットにおいては、17MW/m^2にも達するものと予想されるため、これを冷却水の沸騰なしで冷却するには、流速27m/sec必要とされている。この炉心の熱解析に用いるためHFIR(オークリッジにある高中性子束炉)用に作られた炉心熱解析コードの修正を行うことになり、日本側はこの中、サブクールバーンアウト熱流束相関式についての検討を行なった。
9〜17MW/m^2の表面熱流束及び27m/sec冷却水流速をカバーできるよう従来の実験結果と、17種の相関式とを比較検討した結果、誤差が小さく、相関系数の大きいGambillの式を採り、今後実施する実験によって修正を加えた上で設計に用いることが適当であるとの結論を得た。
またホットスポットの取扱いは、このような極限に近い条件下では極めて重要である。従来の手法とは違った、種々の誤差の間の相関性などを考慮にいれた、より合理的な取扱いについての基礎研究を行なった。
次に研究炉では、中性子束を外の実験設備へ導くための実験孔、照射のための照射孔などが設けられ、それが実験の要請に合致する必要がある。上述の中性子束密度は性能の最も重要なものであるが、その他、実験孔を設けることによる反応度変化、実験孔から外へ出てくる中性子束密度とスペクトル及びγ線の混入の度合いなどが重要である。このような性能を計算によって出すことは非常に困難であるが、実験者からは強い要請がある。日本側は、これを満足に計算できるのはモンテカルロ・コードMORSEだけと判断し、その適用性を調べた。実際に、このReference core用に処理された断面積を用いて、計算してみたところ、減速材、反射材として用いる重水の中性子吸収断面積が小さいため中性子の飛行行程が長く、計算速度が非常に遅いため、現実には使えないことが判った。
そこで、基本的には攝動法によることとし、モンテカルロ・コードMORSE等を攝動計算用に拡張した上で本計算に適用すべきであると考えている。
次ぎに、このような高中性子束の大出力炉(約300MWと想定)では、一次冷却系ポンプの故障により冷却水の流れが停止した場合の燃料板の破損が問題である。
一次ポンプ故障の場合、原子炉は直ちに緊急停止するが、大きな崩壊熱が、かなり長時間続くので、非常用冷却設備で強制冷却をする必要がある。この非常用冷却の後は自然循環になるが、何時間後に自然循環に切りかえることができるかは安全上重要である。この非常用冷却の所要時間は通常時下向きの場合は、流れの向きが変わり一旦流れが止まるので、その瞬間燃料破損が起こることになる。計算の結果、下向流の場合十数時間以上の非常冷却が必要となる。これに対し、通常時上向流の場合、7〜8時間の非常用冷却で十分との結果を得た。
なお、これらと並行して検討された結果上下2分割炉心の中間から、冷却水を入れるための仕切り板は、大流量のため通常の構造では強度的に耐えられないことが明らかになったので、直径の異なる炉心をoff set型に配置し、流れを真直ぐになるように変更、あわせて、冷却水の向きも上向きに変更されることになった最新のReference Coreはoff set型、冷却水の向きは上向きである。なお、今後はこの新しい炉心について種々の研究が進められる。

報告書

(1件)
  • 1988 研究成果報告書概要

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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