研究課題
海外学術研究
本年度は、文化庁所管の研究所・博物館の研究者とスミソニアン研究機構スタッフとが共同研究を進めていくための基本的プログラムを作り上げることに主眼を置いた。1.スミソニアン研究機構スタッフの来日(1988年9月18日〜10月5日)ファン・ツェルスト、チェイス、ジェットの3名は、9月19日〜9月23日の期間に京都で開催された国際文化財保存科学会議に出席のため来日したが、この機会を利用して東京と奈良の国立文化財研究所、3国立博物館、国立歴史民俗博物館を視察した。また濱田及び馬淵と共同研究の進めかたについて意見を交換し、日本側の訪米日程(1989年1月中)とその際の議題(青銅器と土器・陶磁器)についての予備的打ち合せを行なった。2.日本側スタッフの訪米(1989年1月19日〜1月28日)馬淵、平尾、三浦、高浜、田中、田口の6名はサクラー・フリアー美術館所蔵の青銅器・陶磁器を中心に調査し、博物館支援センターの保存分析研究所及び国立標準技術研究所(NIST、旧NBS)の研究施設を視察した。さらに、日本の共同研究者11名により、テーマに関係ある各自の研究成果の発表を行なった。これらの結果を基礎にして、次の様な共同研究の細目(サブテーマ)を合意決定した。a.東アジア文化財とその原料についての鉛同位体比のデータベース作成コーディネーター:平尾、チェイスb.ブロンズ病と青銅腐食のメカニズムコーディネーター:沢田、チェイスc.古代東アジア青銅器における鍍金コーディネーター:高浜、ジェットd.中国製、朝鮮半島製、日本製青銅器の鋳型製作、鋳造技術、冶金学的問題コーディネーター:三浦、チェイスe.縄文土器の技法、組成の問題コーディネーター:佐原、ヴァンディヴァー各サブテーマには上記のように日米各1名のコーディネーターを置いて研究の連絡と推進を図り、それらの総合的調整と連絡には、日本側は馬淵(保存科学)及び田中(考古学)、米国側はファン・ツェルストが当ることになった。また、平成元年度には平尾が渡米して日本語・中国語・英語の3国語共通データーベースの作成を研究し、ヴァンディヴァーが来日して縄文土器の研究をすることを申し合せた。