研究課題/領域番号 |
63045002
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鳥羽 良明 東北大学, 理学部, 教授 (50025277)
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研究分担者 |
COLEMAN Rich シドニー大学, 工学部, 講師
JONES Ian S. シドニー大学, 海洋科学技術研究部, 主任研究員
江淵 直人 東北大学, 理学部, 助手 (10203655)
川村 宏 東北大学, 理学部, 助教授 (40169769)
IAN S. F. Jones The University of Sydney, Ocean Technology Group, Director
RICHARD Coleman The University of Sydney, Faculty of Engineering, Lecturer
EBUCHI Naoto Tohoku University, Faculty of Science, Assistant
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1990年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 風波 / マイクロ波計測 / 大気境界層 / 人工衛星海洋観測 / 合成開口レ-ダ- / 海洋高度計 / バ-スティング現象 / 乱流 |
研究概要 |
東北大学理学部とシドニ-大学理学部とが協力して、風波・海面付近の乱流の力学的研究及び人工衛星による海面のマイクロ波計測に関する基礎的研究を進めることを目的として、本研究を開始した。東北大学理学部には大型風洞水槽があり、マイクロ波計測を含む風波の基礎的研究を進めている。シドニ-大学では、シドニ-大学の洋上石油採堀用タワ-を利用した現場観測基地において海洋観測を進めている。 1988年度は、江淵直人が7月15日から8月22日まで、シドニ-大学を訪れた。この訪問では、後の研究の重要となるフロッピディスク等による両者間のデ-タ交換の方法を確立するとともに、バス海峡の観測デ-タの収集・整理と東北大学への輸送を行った。9月4日から10月16日にかけて、I.Jonesが東北大学を訪問し、江淵が持ち帰ったデ-タの解析結果についての検討を行った。他に、東北大学の風洞水槽を用いて、機械波・風波と水中乱流との相互作用について実験を行った。1983年以来共同で研究を進めていた「風の変化に対する風波のスペクトルの応答、第1部」について、研究論文を完成させ海洋物理学会紙(JPO)に印刷発表した。 1989年度は、鳥羽良明(代表者)が8月3日ー27日にシドニ-大学を訪れて、前年より継続して進行中であったバス海峡での風と波の観測デ-タを中心とする「風の海面応力の風波依存性」に関する研究をさらに進展させた。これは、バス海峡の産油基地における風と波との観測デ-タを用いて、風と風波の局所平衡に関する3/2乗則を適用する新しい考え方で整理し、これまで測定値がほとんどなかった20m/sを越す高風速、周期10秒を越す高波の条件下では、風の海面摩擦が従来考えられていた値の3倍程度も大きいことなどを示した。この内容を論文にしてJPOに投稿し、掲載された。鳥羽良明のシドニ-滞在中に、オ-ストラリア各地の研究者がシドニ-に集まり、人工衛星による海面過程・海洋計測の研究の将来構想について討議した。12月27日ー1月19日にシドニ-大学のR.Colemanが東北大学を訪れ、人工衛星GEOSAT高度計とNOAA熱赤外画像を用いた、日本海の流動と熱輸送に関する研究を行った。 1990年度は、I.Jonesが8月20日から9月3日まで、東北大学を訪れた。海上の風波上の乱流境界層のバ-スティング現象に注目した解析を行い、「海洋の風波上の応力変動」としてカナダの海洋誌(Atmosphere and Ocean)に論文を投稿した。さらに、長年の課題として議論を続けていた風波の形状と勾配に関する論文を完成し、「風波の形状と勾配」という題目で日本海洋学会誌に投稿した。予定されている合成開口レ-ダ-を塔載した人工衛星の打ち上げに向けて、今後の研究計画について打ち合せを行った。 3月2日から17日にかけて、川村宏がシドニ-大学を訪問した。これまでの研究を振り返って総括を行いながら、おもに今後の共同研究の方向について議論を進めた。まとめと今後の展望は以下の通りである。まず、まとめとして、 1)風波と大気乱流境界層の研究については、両者の特徴をうまく活かして研究が大いに進展した。その成果は主要な英文雑誌に掲載または投稿中の4編の論文として現れている。 2)海洋のマイクロ波計測については、それぞれのグル-プで独自に研究を進め、いま投稿する論文を準備中である。 3)海洋高度計と熱赤外画像による大規模海洋現象観測について、準備的な研究を進めた。 4)相互に訪問を繰り返すことにより、お互いの訪問先において研究しやすい環境ができつつあり、今後の共同研究とって重要な資産を得ることができた。 今後の予定としては、 1)風波の力学機構の研究を進めるとともに、マイクロ波を用いた研究に力を入れていく。 2)今後に予定されている能動型マイクロ波センサ-の枠を集めた合成開口レ-ダ-を用いた研究を共同で行う。 3)海洋高度計と熱赤外画像を用いた研究を新たな研究項目として設定する。
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