研究課題/領域番号 |
63045003
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
藤村 俊郎 福島大学, 経済学部, 教授 (30007405)
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研究分担者 |
欧陽 旭初 中南財経大学, 農業経済系, 教授
〓 義鈞 中南財経大学, 工業経済系, 教授
夏 興園 中南財経大学, 経済研究所, 教授
飯島 充男 福島大学, 経済学部, 教授 (70106946)
山川 充夫 福島大学, 経済学部, 教授 (00094285)
町田 俊彦 福島大学, 経済学部, 教授 (70007417)
安富 邦雄 福島大学, 経済学部, 教授 (60007424)
宮島 宏志郎 福島大学, 経済学部, 教授 (80007400)
OUYANG Xuchu Professor of Zhongnan University of Finance and Economics
WU Yijun Professor of Zhongnan University of Finance and Economics
XIA Xingyuan Professor of Zhongnan University of Finance and Economics
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 中国経済 / 市場経済 / 指令制経済 / 経済成長 / 経済改革 / 地域経済 |
研究概要 |
(1)日本側の中国調査 第一に、従来日本の研究者が十分に触れ得なかった、広大な農村を背景とした湖北省経済の変貌についての知見を得たことである。とりわけ監利県での搾油工場、養魚場、県長からのヒアリング、沙市市経済の調査、及び現地大学研究者の長江中流域の四湖経済についての報告は、中国沿海部よりも相対的に改革の遅れた湖北省穀倉地帯荊州地区の現状を、農業、商業、工業、財政の側面から明らかにし、中国経済改革の現段階についての新知見を与えてくれた。 第2に、卸市場、百貨店、富裕農村地域を調査する中で、強い国内市場の拡大圧力をあらためて確認した。とりわけ武漢市漢正街の卸市場の調査を通して、中国の内陸の沿海部・華北の華南、この東西・南北に結ぶ結節点としての武漢市、湖北省の位置について、重要な知見を得た。 第3に、国家の重点巨大企業の武漢鉄鋼公司から農村部の中小企業に及ぶ多様な規模の中国企業、そして湖北省の在来企業から先進地区と言われる江蘇省常州市の中堅企業、さらには深せん市の外資企業といった広範な企業経営の実態調査を行う中で、市場経済と指令制経済との統合・調和の因難性もまた明確となった。一部外資企業を除いて個別企業が自律的に市場動向を踏まえて対応していく状況には未だ至らず、上からの生産計画に従っていることが明かとなった。そしてこうした状況を基本的に規定しているのが、基礎的資材の不足であり、また企業経営の公的財政・金融・人脈への依存である。このことが現時点でもなお続いていることが明確となった。 第4に武漢市、鄂州市等の財政当局の調査の中で、地方政府の地域経済に占める位置の大きさが明かとなった。許認可の権限と共に財政上・金融上の差配の権能がなお大きく、政治の経済に対する優越が続いていることが確認できた。 第5に、広州・深〓地区の経済改革の進展状況及び市政府の方針とについても調査し、中国の外資導入政策の当面の成果と課題について最新の知見を得た。 全体として中国側の研究者の設営は順調であり、研究討論に重点を置いた最終年度も含めて大きな成果があった。そして1979年以来の経済改革の成果の限界あるいは現在的課題も明確になってきたといえる。つづめていえば、経済発展を図る場合の市場と計画・政策との関連如何という点であり、また経営体の確立、不足の経済の解消=インフラストラクチャ-整備、政治的チェック機構確立等の市場機能活用のための条件如何という点である。 (2)中国側の日本調査 第1に、日本の経済発展において、市場経済・自由競争のメカニズムだけでなく、計画・政策の要素が意外に大きかったという点をあらためて確認したという点である。そして通産省や自治体レベルの産業政策の具体的内容に触れ、インフラ整備等についての行政の役割について新たな知見を得た。 第2は、日本における市場経済の組織化進展についての認識である。たとえば小規模農民経済の組織である農業協同組合(流通主体の協同組合)、卸売市場等を通しての生鮮食料品流通についての行政の意外に深い関わり等についても新鮮な知見を得た。 第3に、会津地場企業の調査等を通して、単に日本の光の側面だけでなく、影の面についても一定の知見を得た。 総じて日本の訪問調査は初めての研究者ばかりであり、従来の表面的な日本経済・地域経済把握から大きく進む成果があったと言える。 (3)事務官の派遣 最終年度には今後の両大学の研究教育交流の更なる発展のために、研究協力者として事務官を派遣した。これらを通して両校の研究教育体制の共通点と相違点が明確となり、また同時に今後の兄弟校関係の一層の発展の基礎が形成された。
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