研究課題/領域番号 |
63045010
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
澤岡 昭 (1989) 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (40029468)
沢岡 昭 東京工業大, 工業材料研究所, 教授
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研究分担者 |
HUDEPOHL A ミュンヘン工科大学, 宇宙航空工学研究所, 技官
IGENBERGS E ミュンヘン工科大学, 宇宙航空工学研究所, 教授
田村 英樹 東京工業大学, 工業材料研究所, 助手 (30188437)
HUEDEPOHL Alfred Engineer, Technical University og Munich
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 微小隕石衝突 / プラズマ加速器 / スペ-スステ-ション / 防護構造 / 衝突シミュレ-ション |
研究概要 |
わが国は1993年に無人実験衛星(SFU)を打ち上げるのに続いて、1997年には国際宇宙ステ-ションに日本製の宇宙実験室(JEM)を打ち上げる。SFUは数ケ月間の運用であるが、JEMは有人である上、30年間にわたって運用されることが計画されているので、安全上の対策が重要な課題となっている。 SFUやJEMが飛行する300kmの高度には、相当に多くの微小隕石が飛来することが推定されている。本研究は直径1mm以下の微小隕石の衝突シミュレ-ションに関するものである。 微小隕石モデルとして、パイレックスガラスビ-ズを使用し、モデルを秒速10km以上に加速し、効率よくタ-ゲットに衝突させることができるシミュレ-タ-の開発を行った。シミュレ-タ-の原型として、ミュンヘン工科大学が開発したプラズマ加速器を採用し、同大学との共同研究によってシミュレ-ション技術を確立した。 旧式のプラズマ加速器によって数十個のガラスビ-ズを加速すると、ビ-ズは放射状に広がって、目的のタ-ゲットに衝突する数は限られ、効率良い実験を行うことができなかった。プラズマ加速器にガラスビ-ズを秒速500m以上で投入し、タイミングを合わせて、プラズマ加速を実行する方式を開発することとして、本研究を実施した。 東京工業大学では、ヘリウムガスによる初段加速、ミュンヘン工科大学では、細線の放電爆発による初段加速器の製作を行い、性能を比較した。結果として、ミュンヘン工科大学の方式は、放電爆発時に発生する金属プラズマがプラズマ加速器の加速コイルに流入し、回路を短絡させるため、加速効率を著しく低下させることが明らかになった。この問題は解決困難なことであったので、開発を断念し、東京工業大学が担当したガス方式に精力を集中することとした。 ヘリウム圧縮ガスを使用した初段加速装置によって、200個のガラスビ-ズを初速500mでプラズマ加速コイルに投入して、再加速を行った。加速コイル発射口より580mmの位置に固定した直径70mmのタ-ゲットには、20個以上のガラスビ-ズを衝突させることができた。本研究において開発した初段加速装置は、ガラスビ-ズを前面に付着させた高密度ポリエチレン製サボを高圧ヘリウムガスで発射管中を加速し、サボを発射管出口手前で停止させる機構をもっている。サボの停止は発射管口径を絞り、サボの変形によって行うものとした。 このことによって、ヘリウムガスはリ-クすることなく発射管の中に閉じ込められたままであり、加速コイルの作動への影響は見られなかった。サボが減速する時、慣性力によってガラスビ-ズはサボから離れ、前方へ飛行する。サボが発射管出口に達したことを光センサ-によって検出し、適当な遅延時間の後にプラズマ加速器を作動させた。 新システムの完成によって、直径1mmのガラスビ-ズを秒速10kmでタ-ゲットに効率よく衝突させることができるようになった。 ミュンヘン工科大学はESA(ヨ-ロッパ宇宙機構)が建造する宇宙実験室コロンバスの隕石防護構造を担当しており、今後さらに提携を強め共同研究を推進して行きたい。
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