研究課題/領域番号 |
63045016
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神田 啓治 (1990) 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (10027419)
石田 政弘 (1988-1989) 京都大, 原子炉実験所, 教授
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研究分担者 |
ALDEMIR T オハイオ州立大学, 工学部, 助教授
BARTH R.F オハイオ州立大学, 医学部, 教授
SOLOWAY A.H オハイオ州立大学, 薬学部, 教授
北岡 祥伯 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (00027426)
古林 徹 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (90089136)
上野 陽里 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60025541)
SOLOWAY Albert H. College of Pharmacy, the Ohio State University
BARTH Rolf F. Department of Pathology, the Ohio State University
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1990年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 研究用原子炉 / 中性子照射 / 中性子捕捉療法 / 硼素化合物 / 生物医学 / 腫瘍 / 臨床 / Selectivity |
研究概要 |
1、経過 昭和63年に始った米国オハイオ州立大学と京都大学原子炉実験所の3年間の協力研究が一応終了した。これは両大学の大学間協定に基づいて行われたもので、研究用原子炉からる中性子を利用する腫瘍治療法の開発に関する協力研究で、日本から延べ6名、米国から5名が相手国を訪問し、セミナ-、討論、講議、放設見学を中心に情報の交換などを行った。3年間に研究代表者及び協力研究者による論文の一部は、様式5の10にまとめてある。)最終年度の12月にオ-ストラリア・シドニ-で開催された第4回中性子捕捉療法国際会議に併せて開かれた国際中性子捕捉療法学会評議会において、研究代表者神田啓治助教授が理事に選出されるという幸運もあった。 2、研究の内容と成果 硼素中性子捕捉療法は、あらかじめ腫瘍を持つ患者に硼素化合物を注入し、その化合物が腫瘍に選沢的に集積したときに、原子炉から出る中性子を照射して、腫瘍のみを破壞しようとする新しい治療法である。1960年代に米国で堤案され、1970年代に日本で初めて成功した方法で、脳腫瘍、悪性黒色腫に適用されているが、今日でも臨床例約120件は日本にしかない。さて、オハイオ州立大学には硼素化合物の世界的権威であるソロウェイ教授がおり、京大には医療用中性子場の開発の第一人者である神田助教授がいることから、ギブアンドテイクの研究協力が成立した。 オハイオ州立大学には出力10Kwの小型研究用原子炉があるが、医学生物学用の照射装置は付設されていなかった。そこで京大側の指導のもとに、ガンマ線混入比の少ない中性子場の設計を行ない、計算による評価と原子炉の一部改造が行われた。また、出力も近く100KWに上昇する計画がまとまった。しかし、生物の照射までには、まだ若千の時間がかかるものと思われる。また、照射技術、例えば、照射中の細胞の雰囲気コントロ-ル法とか、中性子やガンマ線の測定方法について、いくつかのノウハウを教えた。ちなみに、京大には5MWの中型研究用原子炉があり、かつ各種の医学生物学用の照射装置が付設されている。又この3年間に、9例の臨床応用も実施された。 一方、硼素化合物の合成とその特性測定は、京大のウィ-クポイントであったが、度重なるソロウェイ授の指導で、相当レベルアップすることができたし、何より硼素化合物に興味を持つ研究者が興こされたことが大きい。また、終了直前の今年2月には、ソロウエイ教授を迎えて全国レベルの硼素化合物に関する研究会を京大で開催することができた。 これまで述ベた物理(日本)一薬学(米国)を中心としたギブアンドテイクの他に、生物学・医学についても討論や情報交換などが、かなり高いレベルで行われた。相方で開かれたセミナ-は合計20回近くになり、出席者は延べ600名に達したことは感謝すベきことである。 3、今後の展望 研究者の交流に加えて、相方共この分野の学術論文を各数十編ずつ交換した。この論文交換のル-トは今後共続行する予定である。また、米国側には、この研究協力続行の希望が非常に強く、平成3年度には日本側から協力研究者の古林講師を数ヶ月招へいしたい意向で、目下その準備が進められている。京大側としても得るところが大きいので、平成4年度から、再度この科学研究費を申請したいと考えている。 いずれにしても、研究用原子炉を用いた硼素中性子捕捉療法が、米国でも早く実現することを望み、今後共協力を惜しまないつもりである。また、症例拡張のために、新しい硼素化合物の開発研究は続けたいと考えている。
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