レ-ザ-によるX線輻射の発生の研究

• 研究課題/領域番号: 63045019
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 大学協力
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 中井 貞雄 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (10029019)
• 研究分担者: MEYERーTERーVE MPO, 研究員 ; PAKULA R. MPO, 研究員 ; TSAKIRIS G.D MPO, 研究員 ; EIDMAN K. MPO, 研究員 ; WITKOWSKI S. MPO, 所長 ; SLGEL R. MPO, 主任研究員 ; 坂部 周二 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助手 (50153903) ; 宮永 憲明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 講師 (80135756) ; RAMIS R. MPO, 研究員 ; 白神 宏之 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助手 (90183839) ; 西村 博明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 講師 (60135754) ; 実野 孝久 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 講師 (30162811) ; 中塚 正大 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (20088462) ; 山中 正宣 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (10029118) ; 高部 英明 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (20150352) ; 西原 功修 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (40107131) ; 三間 圀興 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (30033921) ; 加藤 義章 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (30093397) ; 山中 龍彦 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (80107143) ; YAMANAKA M. Institute of Laser Engineering, Osaka University ; TAKABE H. Institute of Laser Engineering. Osaka University ; MIMA K. Institute of Laser Engineering, Osaka University ; NISHIHARA K. Institute of Laser Engineering, Osaka University ; YAMANAKA T. Institute of Laser Engineering, Osaka University ; KATO Y. Institute of Laser Engineering, Osaka University ; MEYER-TER-VEHN J. Max-Planck-Institute fur Quantenoptik
• 研究期間 (年度): 1988 – 1990
• 研究課題ステータス: 完了 (1990年度)
• 配分額: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円); 1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円); 1989年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円); 1988年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
• キーワード: レ-ザ-核融合 / レ-ザ-プラズマ / X線の発生 / 輻射の閉じ込め / X線輻射輸送 / 輻射駆動爆縮核融合

研究概要

平成元年2月ー3月に大阪大学レ-ザ-核融合研究センタ-の激光X II号ガラスレ-ザ-を用いて日独共同実験を行った。この共同実験に先立って、1年余りかけて周到な準備をして実験に臨んだ。このため実験計画通りに実験することができた。実験結果の解析を日独で分担してテ-マ毎に1〜2年かけて行った。その成果を国際会議で発表し高い評価を受けてきた。また研究論文の発表を現在行いつつある。
研究成果の概要を以下に記す。
1.X線輻射のキャビティ中の閉じ込め
高Z物質(金)で構成される中空キャビティにX線輻射を閉じ込めることにより輻射強度を増大させ、240eVの輻射温度を達成した。本実験ではガラスレ-ザ-の3倍高調波光を発生させ、波長351nmの短波長レ-ザ-光でキャビティを照射したので、高いX線発生効率を得ることができ、その結果輻射閉じ込め効果を明確に示すことができた。
輻射の閉じ込めは、キャビティ壁を照射するX線強度が強いと、高い効率でX線が再放出されることにより生じる。輻射閉じ込めの実験的観測は、高Z物質中での輻射輸送・発生過程の理論を検証するものである。またこの結果生じる高強度輻射場は、X線源として下記に述べる研究に役立てられた。
2.高密度物質中での輻射輸送
高強度X線が高密度物質中を伝播する様子は、物質の原子番号に依存する。高Z物質では、X線輻射で生成したプラズマがX線を再放出するため、輻射は熱波として拡散的に固体内部へ伝播する。低Z物質では自発光が少ないため、外部から照射したX線が物質をイオン化しつつ内部へ進行する加熱波として伝播する。
輻射輸送の様子を実験的に観測するため、上記の輻射閉じ込め実験において、キャビティ壁に設けた小さな観測穴に薄膜を貼り付け、その薄膜中を伝播してくるX線のスペクトルの時間変化を、外部より観測した。代表的物質として金(Z=79)及びAl(Z=13)を観測対象とした。その結果、金における熱波及びAlにおける加熱波の伝播の直接観測に始めて成功し、理論との詳細な比較を行うことができた。
3.輻射駆動型タ-ゲット爆縮
輻射を閉じ込めることにより、輻射強度が増大し且つ空間的均一性が良くなる。したがってキャビティ中に核融合タ-ゲットを置くと、タ-ゲットは強い輻射で一様に照射されることになる。タ-ゲットとしては、X線に対する吸収率の良い低Z物質が適している。タ-ゲットによる吸収が大きすぎるとキャビティ中での輻射増大効果を打ち消すことになるので、キャビティと内球の形状、大きさ、物質等に関し最適設計を行う必要がある。このような設計に必要な基本量を上記の2つの研究で得たので、それをもとにタ-ゲット設計を行い爆縮実験を実施した。
その結果、輻射閉じ込めによるキャビティ中での輻射場の均一化が実験的に示され、その中に置かれた核融合タ-ゲットを球対称性を保ったまま高密度に圧縮し、圧縮プラズマ中で核融合反応を発生させることに成功した。この研究により、輻射駆動型爆縮の理論的及び実験的基礎付けがなされたので、これをもとに高利得タ-ゲットの設計を行える準備が整った。
以上本共同研究を通じて、レ-ザ-プラズマ中でのX線の発生と輸送、輻射閉じ込めによる輻射増強、及び輻射駆動型爆縮に関する定量的理解が得られた。またX線計測に関する技術的問題に関しても多くの知見が得られた。日本とドイツの研究に対する取り組み方の違い等、いわゆる国際交流の面でも収穫の多い共同研究であった。

研究成果

• [文献書誌] Y.Kato: "Cannonball Target Implosion Experiments with Blue GEKKOーXII Laser" IAEA,13th International Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research. IAEAーCNー53. B-2-2 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] R.Sigel: "Heat Wave and Radiation Confinement in LaserーHeated Cavities" IAEA,13th International Conference on Plasma Physics and Controlld Nuclear Fusion Research. IAEAーCNー53. B-2-1 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] R.Sigel: "Experimental Observation of LaserーInduced Radiation Heat Waves" Physical Review Letters. 65. 587-590 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] G.D.Tsakiris: "Radiation Confinement in XーRay Heated Cavities" Physical Review. A42. 6188-6191 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] H.Nishimura: "XーRay Confinement in a Gold Cavity Heated by 351nm Laser Light" Physical Review.
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Endo: "Experimental Studies of Radiative Energy Transport in XーRay Heated Aluminium Plasma"
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] Y. Kato, et al: "Cannonball target implosion experiments with blue Gekko Xll Laser" IAEA 13th International Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research. IAEA-CN-53. B-2-2 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] R. Sigel et al: "Heat wave and radiation confinement in laser-heated cavities" IAEA 13th International Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research. IEA-CAN-53. B-2-1 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] R. Sigel et al: "Experimental observation of laser-induced radiation heat waves" Physical Review Letters. 65. 587-590 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] G. D. Tsakiris, et al: "Radiation confinement in x-ray heated cavities" Physical Review. A42. 6188-6191 (1990)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] H. Nishimura, et al: "X-ray confinement in a gold cavity heated by 351nm laser light" Physical Review.
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より