研究課題/領域番号 |
63045023
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
吉永 長則 愛媛大学, 農学部, 教授 (20036289)
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研究分担者 |
タンチセリ バンポート. メチョー農科大学, 副教授
スハ゜ウドムレク ブンロー メチョー農科大学, 副教授
松枝 直人 愛媛大学, 農学部, 助手 (90199753)
逸見 彰男 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40093942)
SUPA-UDOMLEARK Boonrawd Maejo Inst. Agric. Tech. (Assoc. Prof.)
TANTISERI Banpote Maejo Inst. Agric. Tech. (Assoc. Prof.)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
1990年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1989年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1988年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | タイ台地土壌 / 紘物 / カオリナイト / ハロイサイト / ギプサイト / スメクタイト / 理化学性 / 粒径組成 |
研究概要 |
1.調査区域:昭和63〜平成2年度の3年間にわたる土壌調査区域は、タイ北部のチェンマイ、チェンライ、ランバン、パヤオ、メホンソン、ロエイの各県、および対照に選んだ中〜南部のチャンタブリ、ナコンラッチャシマ、コンケン、ロップブリ、プケットの各県である。調査断面は40、採取した土壌試料は約250個である。ほかに河床沈泥20試料を採取した。分析項目は、土壌の理化学性(土壌反応、有機物含量、交換性陽イオン含量、微量要素含量、粒径組成)及び紘物組成である。 2.土壌反応と交換性陽イオン:pHは規定塩化カリウム中で4付近の強酸性を示し、交換性陽イオン含量も低く(〈2me/100g)、全体に強い溶脱を受けていることを示す。ただ、表層のpHも交換性陽イオン含量も下層土よりやや高いが、これは植物による塩基環元と地表からの水分蒸発によると思われる。 3.有機物含量:表層の1〜2%以外は、断面全体ほとんど例外なく0.5%で、極めて低い。 4.微量要素(亜鉛、銅、マンガン、モリブテン等):王水浸出による含量は例外を除き数ppm以下で、温帯下の土壌に比べて一般に低い。土壌によっては花弁(バラ、キク)に亜鉛欠乏症状が認められる。 5.粒径組成:母岩によって異なるが、概して堆積物と砂岩由来の土壌は砂質(砂〉70%)、塩基性岩と崩積物由来のものは粘地質(粘土〉50%)、花こう岩質岩由来のものはこれらの中間にある。粒径組成を層位(深さ)別に見ると、いずれの断面も、粘土含量は表層で低く、下層に向って増加する傾向を示す。これは表層の粘土の流去水による流失(表層侵食)及び浸透水による溶脱よると思われる。なお、シルトの含量は一般に非常に低く(〈10%)、温帯の類似の土壌の1/3〜1/4である。このことは、強風化下の熱帯土壌では、シルトは微粒のため風化し易く、土壌中に長く留まれないことを示すものと思われる。 6.鉱物組成: (1)砂:玄武岩質母岩のものを除いた全ての土壌でほとんど石英が占め(〉95%)、これ以外はそれぞれ微量の難風化紘物(磁鉄紘、鋭錐石、電気石、くさび石、チタン鉄紘、赤鉄紘等)である。これは明らかに強風化のためである。玄武岩質母岩のものにかなり石英が認められるが、これは母岩の噴出時またはその後の風化過程で、石英を侵入したためと解釈される。 (2)粘土:全土壌で、粘土紘物組成はカオリナイトが優勢(>60%)で特長付けられる。ただし、年間降雨量が多い場合は(≧3000mm)多少のハロイサイトが生成しており、また、年間を通じて土壌が湿状態にある断面では表層はカオリナイト、下層はハロイサイトが優勢という分布がみられ、このハロイサイトは常にがなり(≦20%)のギプサイトを伴っている。このことから、熱帯においても湿潤条件ではハロイサイト(とギプサイト)が生成し、ハロイサイトは乾燥によってカオリナイトへ変るとい1つの変化系列が示唆される。また、花こう岩質母岩の土壌には多少(≦5%)のギプサイトが生成しているが、この紘物の生成と母岩の関係はよく分らない。 カオリナイト(とハロイサイト及びギプサイト)以外の粘土成分で全土壌を通じて最も多いのは遊離鉄酸化物であり(≦15%)、その主体はヘマタイトと少量のゲ-タイトである。粘土含量の低い土壌ではこれらは重要な粘土成分と言える。このほかに頻繁に認められる紘物はバ-ミキュライトとスメクタイトである。とくに古い沖積層由来の土壌では、後者はカオリナイトと不規則混合層をなしており、このことは、このような土壌のカオリナイトは堆積母材中のスメクタイトの風化によって生成したものであることを示している。 (3)河床沈泥:雨期に新しい岩石風化面から流出した河床沈泥には、カオリナイトのほかにかなりの2:1型紘物を含んでおり、これがタイ低地土壌中の2:1型の給源をなすと考えられる。
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