研究課題/領域番号 |
63045027
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
小川 康恭 (1990) 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60167319)
松本 信雄 (1988-1989) 東京慈恵会医科大, 医, 教授
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研究分担者 |
WANTANEE Cha チェンマイ大学, 医学部, 講師
PANNEE Sirib チェンマイ大学, 医学部, 講師
ONAONG Sonkl チェンマイ大学, 医学部, 講師
SOMBOON Supr チェンマイ大学, 医学部, 教授
BOONYONG Pon チェンマイ大学, 医学部, 教授
塩田 正俊 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90187328)
SUPRASERT Somboon Chiang Mai University, Professor
SONKLIN Onanong Chiang Mai University. Lecturer
PONGPROT Boonyong Chiang Mai University, Professor
CHAWAPONG Wantanee Chiang Mai University, Lecturer
SIRIBUT Pannee Chiang Mai University, Lecturer
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1990年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | タイ国 / 農村 / 母子保健 / 母子健康手帳 / 栄養調査 / 体型計測 |
研究概要 |
我々はタイ国農村における母子保健の向上に対する有効な対策を提言することを目的として3年計画の研究プロジェクトを遂行した。タイ国のように現在工業化が進められ資本の蓄積が進みつつあるものの、国民の80%が農民であり、まだ保健医療政策に対して十分な社会資本を投下する余裕のない国においてはWHOが提起したプライマリ-ヘルスケア(PHC)の理念(自助自決の精神、負担可能な費用の範囲、個人または家族の十分な参加、自らが普遍的に利用できる実用的で科学的に適正で、かつ社会的に受け入れられる手順と技術)に基づき、特別な技術の導入はせず、現地に蓄積されている技術及び人的資源を最大限に活用することが最も大切であることを念頭に置いた。これらの条件に合った保健活動としてはその地域に合った健康教育の開発が最も効果的であると考えた。母子保健の向上には先ず客観的で正確なデ-タが記録されかつそれが保存されなければならない。そのための何等かの登録制度の確立が望まれる。また母親はその値の意味するところを理解し自らの日常生活で活用できなければならない。ここでは健康教育的アプロ-チが主題となる。そこで本研究は、妊娠・出生登録制の基盤整備としてタイ語版母子保健手帳の導入を図るとともに、タイ国農村の経済・衛生・栄養・健康調査を実施しその現状を把握し、それらに基づいて有効な健康教育を提言することとした。 昭和63年度は実験(A)地区ならびに対照(B)地区を設定し、実験地区にはタイ語版母子手帳(日本語版の翻訳)を作成印刷し配布した。また、PHCにおけるBasic Minimum Needs8項目につてA・B両地区の世帯訪問予備調査を行った。そのとき母子を中心とした食品及び栄養摂取調査を行った。この予備調査の結果に基づいてタイ国側研究者と討議の末、経済・衛生・家族・栄養調査票を作成し、年度内に本調査をタイ国研究者によって実施された。他方健康教育場面の設定を目的として母親学級・調理教室・母子手帳記入コンテスト・赤ちゃんコンテストなどがタイ側研究者により実施された。 平成元年度は経済・衛生・家族・栄養調査の結果解析及び母子の健康調査を実施した。解析の結果A地区は純農村でB地区は脱農村化が進んでいることが分かった。すなわちB村ではチェンマイ市へ働きに出て現金収入を得ているものが多くその分生活も豊かになっていた。食品栄養摂取調査の解析結果でも摂取エネルギ-量に差はなかったがタンパク質摂取量ではB地区が圧倒的に高くなっていた。また、家族とくに母親の教育歴および収入が栄養摂取水準の良否と高い関連性があること等が認められた。この2村に対する介入実験では実験効果の比較はできないことが分かったが、視点を変えてみるならばこの2村の比較は将来のタイ国の保健状況を予測する上で非常に有効であると考えられた。またこの年は、対象集団のうち協力してくれた母子(A地区33組、B地区31組)に関し、血液学的諸検査・身体計測を行い栄養・健康状況の調査を行った。その結果脱農村化の進んでいるB地区では肥満化傾向の出現を示唆している結果が得られた。しか自然流産に関してはB地区では認められなかったにも関わらずA地区では数例認められた。 平成2年度は身体計測を再度実施し計測値の再現性を評価することにより計測精度の重要性を認識させ、さらに昭和63年度にA地区に配布していた母子手帳の利用状況を調査した。母子手帳の保管状況は2年を経過しても良好であったが、その活用度は少なかった。手帳の使用頻度を高めると共に、使用する度に各項目について説明することを通して健康教育を行うことが信頼できるデ-タベ-スの作成保存及び健康意識の向上にとって重要であることが示された。現地調査と並行して、タイ側研究者に日本の健康教育の歴史及び実状を視察しそれらを肌で理解する機会を与えること、さらには母子保健活動の指導者・調査研究者としての資質を高めることを目的に延べ4人の研究者を招聘し慈恵医大・女子栄養大学・中野保健所において主として母子保健関連事業について視察・実地修練を行った。さらに最終年度の平成2年度は調査研究の解析・まとめを行うために延べ2人のタイ側研究者を招聘した。
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