研究課題/領域番号 |
63045028
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 大学協力 |
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
岡本 隆 神戸学院大学, 経済学部・学, 部長・教授 (00068222)
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研究分担者 |
GARTH COFFIN McGILL UNIVERSITY, 農学部, 助教授
PAUL BERMAN JOHN ABBOTT COLLEGE, 経済学, 教授
赤穂 栄一 神戸学院大学, 薬学部, 助教授 (50122239)
草野 毅徳 神戸学院大学, 栄養学部, 教授 (50068235)
西原 達也 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (10164576)
井上 薫 神戸学院大学, 経済学部, 教授 (60068244)
COFFIN Garth McGill University, Faculty of Agriculture
BERMAN Paul John Abbott College (Canada), Department of Economics
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1989年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1988年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 医薬品流通機構 / 穀物流通機構 / エレベ-タ- / 強制ライセンス / Cー22法 / 研究開発 / 日本およびカナダ |
研究概要 |
カナダおよび日本における小麦・大麦の価格差とマ-ジンに関して調査・研究した。 小麦と大麦に関して、これらの主要輸入国である日本と主要輸出国であるカナダとの間価格差が大きい。この差は、主として政府の政策、殊に日本での輸入制限と国内価格維持に帰し得るが、また他面、輸出/輸入の管理様式と業務指導をひき出した日本の市場および流通機構の構造と効率にも起因している。 研究の目的は主として次の諸点におかれた。すなわち、(1)両国の穀物の市場システムにおける各段階(すなわち、生産者、卸売業者、加工業者、消費者等)で生じる価格差に関する資料収集、(2)価格差と政策との関係調査、(3)価格差発生源を調べるための穀物市場システムの構造と効率における差の分析。 両国における穀物政策の変動時期としての1970年から1989年に至る期間の比較分析に重点をおいた。この分析の結果は、両国の政策立案者および穀物産業関係者にとって有用であろうと考えられる。なぜなら、カナダの独占的売手である輸出機関(カナダ小麦局)と日本の独占的買手である輸入機関(食糧庁)のすばらしい機能を理解する上で大いに貢献することになるからである。これらの調査結果は、両国が貿易交渉の結果として前向きの政策に直面している現時点において、殊のほか適切なものと考えるものである。 カナダ製薬企業へのアンケ-ト調査等によると医薬品の流通ル-トは「企業→病院、薬局」のル-トと「企業→卸→病院、薬局」がほぼ6:4であった。日本では後者のル-トが90%ほどで、更に第2・第3卸、現金問屋等が介在する複雑な形態を採っている。その分価格がアップするのは否めない。カナダでは強制ライセンス法により、わずか4%(売上に対する)のロイアルテイを払うだけで新規特許医薬品を導入できるため良質な医薬品が安価に流通していることが判明した。しかしこのためカナダでは新薬を研究・開発するというインセンティブにかげりがきた。それを是正する意味でBill Cー22が制定され、特許有効期限を延長する施策を打ち出した。 医薬品の売上げに占める研究開発費の比率は、一般に医薬品をめぐる規制が緩やかな英国、米国、オランダで高く、規制の厳しい日本、カナダ等では低くなっている。特にカナダでは低く、Bill Cー22により現行の率(6.9%)を1991年には8%、1996年には10%の伸びが期待されている。一方、特許薬価評価委員会(Patented Medicine Prices Review Board(PMPRB))を設置し、厳しく施行基準の遵守徹底を計っている。医薬品は研究、開発が他の商品以上に望まれ、特に薬価基準引下げのある日本では、スイス・西ドイツ等世界的に高水準にある国並み(対売上率20%)の投入が望まれる。現行の比率(7%)への逆算からして(0.2ー0.07)/0.07=1.84となり、現在の薬価全体のカサ上げ(1.84倍へ)が必要となる。カナダにおいてはその率は1.04倍であった。 カナダは英国の影響下、国民皆保険制であるが、薬局における医薬品の価格算出方式は州によりまた薬局により異なっている。オンタリオ州の代表的な方式“コストx1.1+\8.99"を例にとれば、日本の方式“調剤基本料(310円)+調剤料+薬剤料"に比し、処方日数が少ない場合日本の方が割安で、多くなると後者が割安となる。この流通過程で問題となるのが薬価差で、カナダでは処方箋に記載されている医薬品の同種同効薬であれば代替調剤できるため、spread pricingという形で薬ザヤの大きい医薬品が選択される傾向にある。
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