配分額 *注記 |
156,000千円 (直接経費: 156,000千円)
1991年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1990年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
1989年度: 66,000千円 (直接経費: 66,000千円)
1988年度: 77,000千円 (直接経費: 77,000千円)
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研究概要 |
固体ヘリウムのX線トポグラフィは我々のグル-プ以外にやっている者はいない.したがって,本研究は研究方法の開発,研究装置の製作から始めなければならなかった.すなわち,超低温の試料を放射光で照射する場合の温度上昇をどれだけにとめられるか?高圧に耐え,できるだけ広い面積の窓をもつ試料室の開発,超低温の固体ヘリウムの結晶方位を温度を上げることなく回転する装置の開発,トポグラフを原子核乾抜に能率的に撮影するための自動撮影装置の製作,分解能を向上させるため2θ=90°反射のトポグラフを撮影するための装置の製作等であった。これらは初年度と第2年度に終る予定であったが,試料室及び回転装置を我々自身で作らざるを得なかったために約6ケ月の遅れを生じた.このほか,90°反射が極めて弱い上その方向への散乱X線強度が高いため,90°反射のトポグラフを撮影することができなかった。したがって撮影はほとんど前方反射に対して行なわれた.しかし,超低温においても試料室を回転することは可能であり,そのさいの温度上昇は0.1K程度にとどまった.希釈冷凍機は試料回転機構のため大きな熱負荷をもつだけでなく,熱流入が大きくなり,最低0.2K程度までしか冷却できなかった.これらの條件の下で固体 ^4He, ^3Heについて結晶成長過程,焼飩過程転位の観察を行なった.hcp ^4Heとbcc ^3でサブバウンダリの形成過程が非常に異なるのは,hcp結晶中の積層欠陥エネルギ-が非常に小さく,拡張していて上昇運動を起こし難いがbcc結晶では拡張していないで,上昇運動を起こし易いと考えることによって一貫して説明することができる.またヘリウム原子のX線散乱断面積は非常に小さいので,トポグラフのコントラストに動力学的効果を期待することはできない.運動学的理論に基づくシミュレ-ションによって,転位芯近傍の直径1μm以下の領域からの反射がないとした場合のコントラストになることが判った.
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