配分額 *注記 |
254,000千円 (直接経費: 254,000千円)
1992年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
1991年度: 40,000千円 (直接経費: 40,000千円)
1990年度: 40,000千円 (直接経費: 40,000千円)
1989年度: 69,000千円 (直接経費: 69,000千円)
1988年度: 85,000千円 (直接経費: 85,000千円)
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研究概要 |
(1)非対称なドナーDMETの誘導体を中心に有機超伝導体の開発を行った.側鎖を修飾したDMPT,DMMTおよび骨格を変えずにヘテロ原子のみを置換したDIMETおよびETDMなど新たな有機ドナーを設計合成し,ラジカル塩の構造並びに物性を研究した.特にETDMの線形陰イオンの塩においては低温まで金属的性質を示すものが見つかり,新たな超伝導体が期待できる系と考えられる. (2)新規分子ブラーレン類の超伝導体の研究も行い,C_<60>の超伝導体は金属相から超伝導体相に転移することを明らかにした.また金属アジドを用いることの有用性を明らかにし,超伝導体積が100%になる系が存在することも示した.また繰り込み理論を用い,より正しいコヒーレンス長を求めた. (3)BEDT-TTF塩ではk-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2(Tc=10.4K),k'-(BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3(Tc=3.8K),k-(BEDT-TTF)_2Cu(CN)[N(CN)_2](Tc=11.2K),α-(BEDT-TTF)_2NH_4(SCN)_4(Tc=0.8K),α-(BEDT-TTF)_2KHg(SCN)_4(Tc=0.1〜0.2K)の5種の超伝導体を開発した.またβ-(BEDT-TTF)_2I_3塩ではTc=2K相を見いだした.これらの塩でBEDT-TTFのエチレン基の同位体置換を行い同位体効果を調べた.k-(BEDT-TTF)_2Cu(CN)[N(CN)_2]の重水素置換体はC_<60>系以外の常圧有機超伝導体として世界最高のTc(12.3K)を示す.このようなBEDT-TTFの超伝導体BEDT-TTF塩系の超伝導体の設計指針として「Tc向上には,二次元的で,薄く,面積の大きな陰イオン層が適す」を得た.またドナー配列パターンと陰イオン層の空隙構造との間の相関,Tcと良い相関を持つ伝導層体積をみいだした.この他BEDT-TTF及び多種多様なドナーを用い,液体He温度まで金属的な錯体を多数獲得し,高温有機超伝導体の探索を継続している.
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