研究課題/領域番号 |
63103010
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
伊藤 厚子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017180)
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研究分担者 |
北澤 英明 理研, 磁性研, 研究員 (00195257)
勝又 紘一 理研, 磁性研, 主任研究員 (90002104)
安岡 弘志 東京大学, 物性研究所, 教授 (50026027)
鳥養 映子 山梨大学, 工学部, 助教授 (20188832)
森本 せつ お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (90017195)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
1988年度: 10,900千円 (直接経費: 10,900千円)
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キーワード | μSR / スピングラス / 磁気秩序 / 高温超伝導 / スピンの時空相関 |
研究概要 |
交換相互作用競合系及び酸化物超伝導体の単結晶試料についてμ^+SRの測定を行い、スピンの時空相関、相転移等についての知見をえた。主な成果は以下の通りである。 1.交換相互作用競合系:リエントラントスピングラス(RSG)においては、なぜ、一旦形成された秩序状態(反強磁性AF)が低温でランダムな状態(SG)へ転移するのか、その機構についてはほとんど理解が得られていない。この解明には、スピンダイナミックスの研究が重要であると考えて、広い時間スケールで感度をもつパルスμ^+SR法で研究を行った。試料としては、イジング型RSG Fe_0._6Mn_0._4TiO_3(T_N=32K,T_<RSG>=24K)をとりあげ、常磁性から直接スピングラスへと転移するFe_0._5Mn_0._5TiO_3の結果と比較した。(1)T_Nよりやや高温から急速に内部磁場が形成されるが、T_N>T>T_<RSG>の温度範囲では、スピン系の緩和が非常に速いという結果を得た。この事実は、RSG系のAF相は普通のAF相とは性質が異なることを意味しており、RSG転移の機構解明の重要な鍵を握るものと考えられるので、更に研究を発展させる予定である。(2)RSGとSGの振舞いは、μ^+SRの観点からは類似点が多いことが明らかになった。中性子散乱では、両者は明確に異なる性質を示している。観測の時空尺度の異なる測定手段を組み合わせることによって、RSG,SGについて重要な知見が得られた。 2.酸化物超伝導体:低温で超伝導転移の存在する(La_<1-X>Sr_X)_2CuO_<4-δ>の単結晶を作製し、零磁場でμ^+SRの測定を行った。超伝導転移点の近傍で、μ^+SRの初期非対称度および緩和率に何ら異常は認められないこと、低温で両者に顕著な変化が現れ磁気秩序が形成されること、を見いだした。超伝導と磁性の共存が本質的なものであるかどうかは今のところわかっていないが、超伝導の発現機構を解明するために、今後研究すべき課題である。
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