研究課題/領域番号 |
63203005
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研究種目 |
特定研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池畑 誠一郎 東京大学, 理学部, 助教授 (30107685)
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研究分担者 |
小森 文夫 東京大学, 理学部, 助手 (60170388)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1988年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ポリアセチレン / ソリトン / Peierls歪み / 中間子 / 格子上不純物 |
研究概要 |
Peierls歪みを持つ一次元電子格子系が格子上に置かれた不純物に対して安定であるかどうかは実験的理論的に未知の問題である。ポリアセチレンは基底状態としてPeierls歪みを持つ一次元電子格子系ポリアセチレンの格子上不純物に対する格子の安定性の問題は大変興味深いが、この系で格子上不純物を化学的に安定に作る事は困難で未だに調べられていない。現在考えられる唯一の方法はμ^-を用いる事でμ^ーはポリアセチレン格子上のCμ^ーーC複合核を形成しμ^ーの寿命の間は格子上不純物Bとして作用する。この不純物の効果はμ^-スピン共鳴(μ^-SR)を通して調べる事ができる。μ^-SRは高エネルギー物理学研究所内東京大学中間子科学研究センターに於いて行った。共鳴周波数は約500MHzで測定温度域は室温から窒素温度までである。室温に於いてシス型ではμ^-SRはほぼ自由な位置に観測されたが、トランス型では低磁場側へ約150ppmシフトしている事が明らかとなった。このシフトの差は大変大きく通常の化学シフトの差として説明する事は困難である。一つの可能性としてμ^-ーC格子上不純物によりトランス型に於いてはPeierls歪みが不安定となり金属転移が生じたと考えればこのシフトを半定量的に説明する事ができる。更にこの考えを確認するためトランス型で認められたシフトの温度依存性を測定した。シフトは200K近傍を境として消滅する傾向が認められた。この振舞いは高温域で不安定となったPeierls歪みが低温域で再び安定となったと考えれば定性的には理解できる。本実験で得られた結果は応用上も重要で従来の電荷移動によるドーピング以外の方法に於いても高分子、特にPeierls歪みを持つ高分子を金属化させる事ができる可能性のある事を示唆している。
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