研究課題
総合研究(A)
管楽器について (1)楽器構造測定:代表的なバロック期のアルトリコーダとバスラケットの構造を精査した。(2)演奏法の特徴調査と演奏音収集:上記リコーダの基本奏法の演奏音を収集分析し、倍音構造上、古典曲向き尺八、能管低音域と共通の特徴があることを見出した。(3)入力アドミタンス、インパルス応答測定およびこれと演奏音の特徴量との関係の記述:インパルス応答に対する管内径、管内形状、音孔の存在などの影響を明らかにした。(4)シミュレーション計算による共鳴特性モデル設定:上記リコーダについて、音律上、低-中音域間のオクターブ音程が広い点で尺八と類似であることを見出した。また音色上は、望ましい音色を得るには、管体の共鳴特性が古典向き尺八に比較して劣ること、これが尺八の2倍を超える音孔数にあることを見出した。弦楽器について (5)箏、ギターの弾奏法の調査:ギターの弾奏法を調査し、撥弦を構成する諸物理要因を抽出し、これらを所要の値に設定して弾奏する機械装置を作成した。(6)箏弦の振動の測定・記述:弦振動波形を精密に測定する方法を検討し、渦電流利用の非接触型測定器で、十分な直線性と精度が得られることを明らかにした。(7)ピアノ弦の振動とピアノ音に関する測定と解析:音の立上りにおける急激な過渡変化の分析方法を検討し、その結果に基いて、ピアノ音をウィグナー分布と短時間スペクトル法によって分析し、打弦後の倍音成長過程、弾奏音の特徴的な打音スペクトルを記述した。(8)ギター弦および表面板の振動と発生音のスペクトルの測定:代表的奏法であるアポヤンド奏法を、上記の機械装置で模倣し、発生音の物理構造を測定、記述した。また数個の等級が異なるクラシックギターについて、表面板の入力アドミタンス、音孔より1mの点における伝送周波数特性を測定、記述した。
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