研究課題/領域番号 |
63304009
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江原 昭善 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (90027483)
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研究分担者 |
寺門 之隆 大阪市立大学, 医学部, 教授 (10046758)
佐倉 朔 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (40013908)
大参 義一 信州大学, 人文学部, 教授 (00022351)
渡辺 毅 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (20027494)
毛利 俊雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (30115951)
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研究期間 (年度) |
1988
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研究課題ステータス |
完了 (1988年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1988年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 縄文時代人骨 / 弥生時代人骨 / 中世人骨 / 近世人骨 / 形態学 / 先史時代の人の移動 / 抜歯 |
研究概要 |
本年度に対象とした資料は、これまでに当研究所で収集した人骨出土遺跡のうち、縄文時代後期(林ノ峯貝塚3体、芋川遺跡2体、大曲輪貝塚3体)、縄文時代晩期(八王子貝塚2体、一ツ木上カス貝塚8体、伊川津貝塚57体、本刈谷貝塚6体)、弥生時代(朝日遺跡3体、新御堂貝塚6体)、中世遺跡(公文2体、細見20体、長光寺215体、波之上58体、市〓島神社160体)、近世遺跡(白川公園120体)などで、全てクリーニングを施し、性・年令・保存状況などの記載を完了した(計672体)。そのうち大曲輪・伊川津・細見については昨年度以前に出版済みだが、今年度に入って新見堂人骨はすでに出版、芋川・上カス・本刈谷・神明社については、復元・観察記載・計測・報告書作成を完了し、現在印刷中である。研究はまだ継続中であるが、現在までに以下の諸点が明らかになった。縄文後期の林ノ峯人骨には抜歯の痕跡がなく、高身長で頭骨諸形質もほぼ同時代の大曲輪・芋川・伊川津・本刈谷人骨とは明らかに異なる。林ノ峯の地理的位置からおそらく海上移動ルートがあったと推測される。同様のことが中世だが細見人骨でもみられる。20体のうち1体は、ずばぬけて高身長で、頭部諸形質も他と著しく異なる。報告書作成後、古文書により当地の水軍基地だったことが判明し、人の移動があった可能性が高い。新見堂貝塚人骨は発掘当初縄文後期と考えられたが、遺跡分布状況、出土状態等を再吟味し、かつ頭骨諸形質の形態学的分析の結果、縄文的特徴は弱くむしろ古墳・中世的特徴を強く示し、かつ抜歯や土器の再検討の結果、弥生時代人骨と同定した。東海地域は弥生遺跡も多いが出土人骨は乏しく貴重な資料である。枯木宮人骨には2タイプ混在しており、当時の人の移動を考察する上で重要だ。神明社出土人骨は古墳時代に属しながら関東の中世人骨に酷似し、一方で九州地方にも類似タイプがある。考古学では九州との対比を吟味しつつあるので、今後の課題を含む。
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