研究課題/領域番号 |
63304010
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野澤 謙 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40023387)
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研究分担者 |
本庶 佑 京都大学, 医学部, 教授 (80090504)
竹中 修 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (00093261)
尾本 恵市 東京大学, 理学部, 教授 (10011503)
松永 英 国立遺伝学研究所, 名誉教授 (10000225)
江原 昭善 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (90027483)
平井 百樹 東京大学, 理学部, 助教授 (60156635)
木村 賛 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20161565)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1989年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
1988年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | ニホンザルの集団構造 / 遺伝的浮動 / テナガザルの系統分類 / DNA解析 / 二足走行 / 人種分化 / 歯の形態 / ヒト上科 / 二足歩行 / ヒト上科の遺伝的系統図 / 霊長類の遺伝子地図 / 霊長類の染色体 |
研究概要 |
2月中旬最終研究成果報告会を行い、1989年度の各分担者の研究実績が以下にまとめられた。 野澤はニホンザル集団構造を、51群、38地域集団数、3409個体の資料を用い、血液蛋白変異を標識として詳細に分析した。その結果が他種Macaca属サルや他の哺乳類のdataと比較され、ニホンザルの遺伝的変異は種全体に均等な分布を示さず地域極在性があり、種としては遺伝的変異性が低いレベルにあることを示した。その主たる要因が遺伝的浮動であると結論された。竹中はヒト上科の一員であるテナガザルの種分化を4βグロビン遺伝子のDNA分析から考察し、ヒトとテナガザルの分岐は1900〜2300万年と推定した。さらにシロテナガザル亜属とフクロテナガザル亜属の差は分岐年代にして700〜900万年と推定している。本庶は霊長類の進化系統樹を解析するため、チンパンジ-、ゴリラ、オランウ-タンの免疫グロブリンεprocessed型偽遺伝子の塩素配列を決定し、それらの比較を行った。その結果ヒトとオランウ-タンが1400万年前の分岐したとき、チンパンジ-とゴリラはそれぞれ490±90万年および、590±90万年前にヒトと分岐したと推定した。松永はmtDNAの分析から日本人集団が2つの異なるグル-プからなることを見い出し、1つのグル-プの割合が南から北に向かうほど高くなっていることを日本人の起源と合わせて考察している。埴原は遺伝子支配が強いといわれる歯の形態を用いて人類集団の融合と分岐に関わる基本的分析を行い、従来は主として人類の大進化で問題とされた歯の形態が、小進化の研究にも十分応用され得ることも見い出した。木村は一足走行と四足走行の骨格構造を力学的視点から解析し、霊長類は同一体重で比較した時一般の四足獣よりも丈夫で大きな長骨をもち、ヒトの大腿骨はサルよりさらに大きく丈夫な傾向をもつことを示した。
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