二重光子吸収測定法による腰椎側面の骨塩定量を可能にするため、解決すべき種々の問題転について検討した。検討項目は基礎的検討として、(1)直接線が入射することによって引き起こされる高計数率に起因する問題点、つまり計数の数え落とし、pile-up、misplaced event countrateおよび背部体厚補償フィルタの検討を、(2)前後像に比して被写体厚が増加することに伴う影響、つまりbeam hardeningとspill-overの検討を行い、(3)さらに得られたデータの画像処理方法について検討を行った。また臨床的検討として、測定精度および椎体部(皮質骨部)と関節・突起部(海線骨部)の骨塩量の比を求めた。その結果、高計数率の問題は、現在の線源強度(50ma)であれば、体厚補償フィルタを使用することによって解決されるが、計測時間を短縮するために線源強度を増加させることは不可能であった。被写体厚の増加に伴う諸問題は、体厚25cmを越えると認められた。これは^<153>Gdを線源に使用していることによるものであろう。X線を使用すれば解決できる。画像処理方法の検討では、種々の画像改善フィルタを作成し検討したが、画期的な画像改善は得られなかった。また、臨床的検討では、今回得られた測定精度は、臨床に要求される値よりもかなり劣っていた。海綿骨と皮質骨の骨塩量の比に関しては、測定像の有用性が示された。 このように、^<153>Gdを線源に使用したDPA装置では、腰椎側面の骨塩定量は困難であることが示唆された。ただし、単位時間当たりの放出光子数が^<153>Gdに比して桁違いに大きいX線を線源として使用し、さらに検出方法を改善すれば、腰椎側面の骨塩定量は十分実現可能であり、今後更なる検討が望まれる。
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